衰退著しい函館駅前、なぜかホテル建設ラッシュ

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函館駅周辺で建設が進むロイヤルパークスER函館駅前(右)と函館駅前WBFホテル(左)(12日、函館市で)
函館駅周辺で建設が進むロイヤルパークスER函館駅前(右)と函館駅前WBFホテル(左)(12日、函館市で)

 北海道内有数の観光地函館で、JR函館駅周辺を中心に、地方都市では珍しいホテルの建設ラッシュが起きている。夏の客室不足の緩和が期待される反面、業者からはオフシーズンの値引き合戦を危惧する声が出ている。老舗デパートの撤退などで地盤沈下が進む中、つち音が響く現場を歩いた。(金井智彦)

 函館観光の玄関口、JR函館駅。駅前通りを進むと、現れるのは、1月末に閉館したデパート「棒二森屋」。周辺の人通りは少ない。

 ところが、周囲を見渡すと、どの方向にも、工事用のシートに覆われたビルが目に入る。現場からはドリルの音。資材を積んだトラックが頻繁に出入りしている。

 駅から徒歩約3分。13階建てのホテルが建設されている。内装工事中で来冬の開業を目指す「ユニゾインエクスプレス函館駅前」(277室)だ。通りを挟んだ北側でも、「函館駅前WBFホテル」(320室)の建設が進む。

 同駅周辺は2020年度までに6棟のホテルが開業する。市内の宿泊施設数は約180で計約1万5000室あるが、上半期の大型連休や夏の週末は満室がざらだ。市内全域で2、3年後、予定も含む建設中の物件が全て完成すると最大約2500室増える。市観光部は「宿がとれず旅行をキャンセルする人が減るだろう」と期待を寄せる。

 ホテル建設は不動産投資ブームやインバウンド(訪日客)の増加で全国的に盛んだが、多くは発達した商業地を抱える関東、関西の都市圏や大規模政令市など。観光地の都市計画に詳しい道教育大函館校の池ノ上真一准教授(都市計画)は「地方の中規模都市の中でも、函館は特にホテル建設が集中している」と指摘する。

 函館駅周辺は元々、郊外への人口流出や郊外型店舗の増加で地盤沈下が激しい。棒二森屋が閉館し、衰退に追い打ちをかけた。姿を消した地域住民と入れ替わるように、目に付くのは訪日客の姿。特に特急が到着した直後は、カラフルなスーツケースを引くアジア人客がホテルまで列をなす。北海道新幹線の開業と札幌延伸への期待も、ホテル建設を後押しする。

 宿泊、滞在型が主流を占める函館特有の観光事情もある。例えば、同じ観光都市でも小樽の場合、札幌からの日帰り観光がメインだ。近場に大都市や大規模宿泊施設がない函館は、観光客の増加が宿泊需要に結びつきやすい。

 課題も多い。まずは、道内観光につきものの季節間格差だ。クリスマスや春節以外は閑散とする下半期の客入りは、上半期の5~6割。駅前のあるホテルは先月、1人1泊3000円台まで下げた。支配人の男性(52)は「これが限界。冬でも4000円台は維持しないと経営は厳しい」とこぼす。

 駅周辺で建設が進むのは全てビジネスホテル。既存のホテルと価格帯や客層が競合する。函館ホテル旅館協同組合の遠藤浩司理事長(58)は「閑散期は価格の下落が止まらなくなる」と危惧する。

 駅前一帯の街づくりに関する青写真も示されておらず、地域のラーメン店で働く女性(43)は「客が増えるのはいいが、外国人頼みでは今後が心配」とため息をついた。商店主らでつくる函館都心商店街振興組合の渡辺良三理事長(71)も「駅前が、市民と観光客の双方が集まる場所になればいい」と話す。

 池ノ上准教授は「全体像がないまま再開発が進むと、住民にとって魅力のない地域になりかねない。行政任せにせず、まずは民間や研究者らが一丸となって青写真をつくる場が必要だ」と提案する。

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537477 0 経済 2019/04/15 08:52:00 2019/04/15 10:58:30 2019/04/15 10:58:30 函館駅周辺で建設が進むロイヤルパークスER函館駅前(右)と函館駅前WBFホテル(左)(12日、函館市で)=金井智彦撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190415-OYT1I50001-T.jpg?type=thumbnail

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