全日空、パイロット不足で成田国際線を減便へ
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全日本空輸が成田空港発着の国際便について、来年3月から、1日の運航便の2割に当たる10便程度を減便する方向で調整に入ったことがわかった。羽田空港発着の国際便を同月から増やすことでパイロット不足に陥る恐れが出たためだ。日本航空も成田便の減便を検討しているとみられる。訪日客の増加で航空需要が高まる中、大手航空会社が国内拠点空港の発着便を大幅に減らすのは異例だ。
1日10便程度を検討
来年の東京五輪・パラリンピックを控え、羽田では、同年3月に東京都心上空を飛ぶ新ルートが導入され、日中の国際線の発着数が年6万回から9万9000回に増える。これに伴い、国土交通省は今年9月、全日空に1日当たり13・5便、日本航空に同11・5便の発着枠を新たに割り当てた。
複数の関係者によると、全日空は羽田の増便に向けてパイロットの調整を進めてきたが、増便の主力となる長距離路線は3人が乗務する必要があるほか、主に使われる大型機の操縦資格を持つ者も限られ、人繰りが難しくなったという。このため成田を1日に発着する国際線42便(平均)のうち、10便ほどを減らし、羽田に回す検討を始めた。
成田を巡っては、米デルタ航空が来年3月に撤退し、羽田に日米路線を集約することを決めるなど地位低下を懸念する声も上がっている。全日空は羽田、成田双方を首都圏のハブ(拠点)空港と位置づける考えを示しているが、関係者は「より都心に近い羽田に一時的に比重を移さなければならなくなった」と話す。
これに対し、ある政府関係者は「首都圏の航空需要を支えるため両空港が発展する必要があるのに、羽田の機能強化で成田便を削っては元も子もない」と語る。
一方、日航は来年3月以降、成田で米サンフランシスコ線を新規就航させる計画もあるが、関係者によると、一部路線での減便を検討しているという。