共通ポイント運営に警告…公取委、囲い込みなど「独禁法抵触」
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公正取引委員会は12日、コンビニなどの買い物でたまる「共通ポイント」の実態調査を報告書にまとめて公表した。ポイントの運営会社が加盟店を不当に囲い込んだり、購入データを不適切な方法で集めたりすることは、独占禁止法に抵触する恐れがあると警告した。
運営会社4社と加盟店414社、消費者1万人から書面やネットで回答を得て、分析した。報告書では、共通ポイントの名前は明記していないが、利用者の多い「dポイント」「Ponta(ポンタ)」「Tポイント」「楽天ポイント」とみられる。
公取委が問題視したのは、運営会社と加盟店が結ぶ「事前承諾条項」だ。他の共通ポイントを新たに採用しようとした加盟店は、運営会社から事前に承諾を得る必要があり、交渉が長引いたり、加盟店が導入をあきらめたりした事例があったという。公取委は、競合他社の参入を妨げる場合は、問題になる恐れがあり、条項があっても加盟店の制約にならないようにすることが望ましいと指摘した。
一方的に手数料を値上げしたり、ポイント還元のキャンペーンにかかる費用を加盟店に負わせたりすることについても、優位な立場を利用して不利な条件を押しつける「優越的地位の乱用」にあたる可能性があるとした。
公取委の調査では、ポイントを導入した店舗の82%は、1種類しか取り扱っていなかった。主な理由は専用端末の導入に費用がかかることだったが、公取委は、不公正な手法で競争を妨げていないかどうか、注視していく方針だ。報告書は、利用者が増えるほど加盟店も集まりやすい傾向があるとして、「(特定企業への)集中が進みやすい市場構造」と指摘した。
運営会社による個人情報の収集や利用についても、利用者の意思に反した行為などは独禁法の問題になり得るとした。運営会社は、購入履歴や住所、性別などから、クーポン券や広告を配信しているが、消費者の約6割は、利用規約を読んでおらず、個人情報の扱いについて、十分に理解しているとは言い難いと結論づけた。公取委は「ポイントサービスの動向を注視するとともに、違反行為に厳正に対処する」とした。