葉タバコやデコポン、豪雨の農林水産被害593億円…「手のつけようがない」

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片付けが一段落した畑の前で被害を語る平川さん(18日、熊本県あさぎり町で)=峰啓撮影
片付けが一段落した畑の前で被害を語る平川さん(18日、熊本県あさぎり町で)=峰啓撮影

 豪雨災害に見舞われた九州・山口の8県の農林水産業被害(速報値)が、20日時点で計593億8900万円に上ることが各県のまとめでわかった。うち6割超(387億1900万円)を占める熊本県では、全国有数の生産量を誇る葉タバコやかんきつ類・デコポンも大きな被害を受けた。被害額は今後、さらに膨らむ見通しだ。

■収穫の大半処分

 「自然が相手だから仕方ないが、まだ受け止められない」。18日、球磨くま川中流にある熊本県あさぎり町の葉タバコ農家の平川勇さん(56)は、片付けが一段落した畑を前に表情を曇らせた。

泥が流れ込み、被害を受けた葉タバコ畑(5日、熊本県あさぎり町で、平川さん提供)
泥が流れ込み、被害を受けた葉タバコ畑(5日、熊本県あさぎり町で、平川さん提供)

 激しい雨となった4日早朝、自宅から車で15分ほどの畑を見に行った。球磨川の支流があふれて畑に水が流れ、収穫用の機械を高台に動かすのが精いっぱいだった。雨が収まった同日夕には300アールのうち170アールが冠水し、泥や流木などが流れ込んでいた。平川さんは「湖のようだった。あまりにも状況がひどく、言葉を失った」と振り返る。

 収穫の最盛期の夏に全体の5割以上の収量を見込んでいたが、大半を処分せざるを得なくなった。畑には泥が残っており、病害が発生し、来年以降に影響が残る可能性もあるという。

 同県の昨年の葉タバコの作付け面積は9万8000アール、売り上げは約58億円で、いずれも全国トップだった。球磨地域の作付け面積は約4万6000アールと県内の半分近くを占め、豪雨による県内の葉タバコ被害は約3億2800万円(20日時点)に上る。県たばこ耕作組合の中山義秀参事は「農地が元に戻るには、数年単位の時間が必要だろう。高齢の農家も多く、再建への意欲を失いかねない」と語る。

■ハウス内に泥

 県内有数のかんきつ類の産地・芦北町では、デコポンの被害も深刻だ。

 同町の浜本義則さん(63)は、土砂をかぶったデコポンの木を前に「どうにもならん。手のつけようがない」と途方に暮れる。

 裏手の山が4日朝に崩れ、ビニールハウス6棟(約15アール)に土砂が流入し、一部は倒壊した。来年1月の収穫に向け、青い実がつき始めたばかり。不要な実をつむ摘果の時期だが、今もハウス内に泥が積もり、奥まで入れない。20年以上の栽培経験がある浜本さんは「こんなことは初めて。1本でも多く無事だといいが……」と不安そうに語る。

 県などによると、2018年のデコポン(品種・不知火)の収穫量は全国1位の2万2344トンで、全体の約4割を占める。同町では、約380戸が計3万4000アールでデコポンを中心に栽培している。

 県やJAが被害の調査を進めるが、農地への道が寸断されるなどしているため、調査が難航し、全容はわかっていない。町農林水産課は「打撃を受けた多くの農家が農業を継続できるよう支援したい」と話した。

    ◇

 20日時点の熊本県の被害は、田畑への土砂流入など農業関係が計約241億円、山腹崩壊など林業関係が計約144億円などとなっている。同県以外の農林水産業被害は、福岡県60億8000万円、大分県36億2100万円、宮崎県34億3100万円など。

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1355521 0 経済 2020/07/20 23:47:00 2020/07/21 00:04:39 2020/07/21 00:04:39 片付けが一段落した畑の前で被害状況を語る平川さん(18日、熊本県あさぎり町で)=峰啓撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200720-OYT1I50078-T.jpg?type=thumbnail

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