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淡路にパソナ1200人移転、代表ら既に始動…島内拠点10か所

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パソナグループは淡路島北部を中心に多くの拠点があり、複合リゾート施設の淡路夢舞台(左手前)にもオフィスが入る(淡路市で、読売ヘリから)=原田拓未撮影
パソナグループは淡路島北部を中心に多くの拠点があり、複合リゾート施設の淡路夢舞台(左手前)にもオフィスが入る(淡路市で、読売ヘリから)=原田拓未撮影

 人材派遣大手のパソナグループが、主な本社機能を東京から兵庫県の淡路島に移す試みが注目されている。2024年5月末までに役員や社員ら約1200人が段階的に移り住む計画。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って働き方やオフィスのあり方を見直す顕著な例で、地元自治体の期待も大きいが、現段階では慎重な見方もある。(井上絵莉子、加藤律郎)

 パソナの本社(東京都千代田区)では、グループ企業を含めて約4600人が働く。「移住」の対象は経営企画や人事、IT部門など本社機能を担う約1800人のうち、3分の2に当たる約1200人に上る。登記上の本社は東京に残すが、重要事項を決める取締役会は島内で開く計画だ。

 移転計画は、コロナ禍で社員の3~4割がテレワークで勤務する中、「地方でも業務に支障はないのでは」と議論が進んだ。拠点や人員の分散化による災害時の事業継続や、都心に比べオフィス賃料が抑えられるメリットなども見込む。

 対象となる従業員の意思を確認し、まず、21年春までに約400人を異動させる。淡路市内などに3、4か所のオフィスを新設し、社宅も整備する見通しだ。

 パソナは淡路島で08年から農業で起業を目指す人の就農支援を始め、17年にアニメや漫画の世界観を再現したテーマパーク「ニジゲンノモリ」、今年8月に劇場とレストランを併設した「青海波」(いずれも淡路市)を開業した。

 島北部に集まるグループの施設やオフィス約10か所などでは約350人が働き、約30人いる役員の4割もすでに淡路島を拠点にしている。神戸市出身の南部靖之代表(68)も今年1月から本格的に島内で執務。本社機能の移転と従業員の移住で、島内での事業や施設の利用増加などの相乗効果も図る。社内では「東京から淡路島への出張も多く、計画への驚きの声は少ない」という。

 企業や官公庁の多くは東京に集中しているが、担当者は「オンラインでの営業活動を続け、対面での場合は東京の従業員で行うなど柔軟に対応し、移転を進めていく」と話す。

 淡路島の人口(1月時点)は約12万7000人と5年前から6・5%減っている。

 淡路市では、「これまでも企業誘致に努めてきたが、人口減少には歯止めがかかっていないのが現状だ。仮に1200人とその家族らが転入すれば、大幅な税収増や経済波及効果が生まれる可能性がある」(秘書広報課)とし、門康彦市長も「人口が増え、雇用も生まれる。相乗効果を期待したい」と喜ぶ。南あわじ市の守本憲弘市長は「社員の住まいの確保について、機会があれば手を挙げたい」と歓迎する。

 一方、製造業が工場を設けるケースとは異なり、雇用創出の面で人材派遣業のパソナがどの程度、寄与できるかは未知数な面もある。淡路市商工会理事の片山佳則さん(49)は「人口増は喜ばしいが、すぐに撤退しないようお願いしたい。島の景観に配慮した事業展開や、島民の雇用創出を期待したい」と注文を付けた。

 青山学院大の須田昌弥教授(地域経済学)は「1000人規模の移住は消費が増えるなど経済的な効果が大きい。政府には柔軟な働き方に対応するIT環境の整備が求められる」と指摘する。

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1469497 0 経済 2020/09/11 08:07:00 2020/09/11 09:15:35 2020/09/11 09:15:35 パソナのオフィスが入っている淡路夢舞台(左手前)(6日午前10時26分、兵庫県淡路市で、本社ヘリから)=原田拓未撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200910-OYT1I50107-T.jpg?type=thumbnail

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