読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

「あのままだと廃線だった」車両や駅を観光資源に、地方鉄道の快走

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 郡家(鳥取県八頭町)―若桜(わかさ)駅(同県若桜町)間の19・2キロを結ぶ第3セクター鉄道の若桜鉄道が今年、全線開通から90年を迎える。利用者数の落ち込みによる経営危機を、その度に創意工夫や地元との連携で乗り越えてきた。新型コロナウイルスの影響などで、今も厳しい経営環境にあるが、小さな会社ならではの機動性と地元住民からのエールを武器に、小気味よく走り続ける。(門前光)

■じり貧

 「あのままだと、廃線になっていたかもしれない」。八頭町地方創生室の川西美恵子さんは振り返る。

 1999年度のピーク時に約67万人だった輸送人員が、沿線の過疎化や少子高齢化で、2016年度は半分以下の約31万1000人。経営を支えるため09年に導入した「上下分離方式」で、八頭、若桜両町は駅舎や線路などの鉄道資産を取得したものの、じり貧状態が続いていた。

 打開策として取り組んだのが、駅や車両そのものを観光資源化すること。レトロな駅舎や橋梁きょうりょうなどが08年、一括して国の登録有形文化財になっていた。

■観光列車

 そこで、鳥取県内外から乗客を呼び込める観光列車に力を入れた。JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治さんに、車両のデザインを依頼した。

 だが、当初は首を縦に振ってもらえなかった。行政からの発注は、予算の執行や議会の承認などで制約が多い。「デザイン一任」という条件を提示し、何とか契約にこぎ着けた。

 18年3月、観光列車「昭和」がデビューした。沿線の清流をイメージし、車体は落ち着いた青色が基調。車窓の風景を楽しんでもらうため、座席の多くを対面式にした。手すりなど内装には、温かみのある木材をふんだんに使った。

 その結果、18年度の輸送人員は、前年度より約2万5000人多い約35万1000人に増加。20年3月までに「八頭号」「若桜号」も運行を始め、水戸岡さんデザインの観光列車が三つになった。

■強力な応援団

 地元住民らは「乗ることで若桜鉄道を支えたい」と話す。09年頃から、駅や周辺の活性化を目指す“応援団”の結成が相次いだ。

 「隼駅まつり」を開催する「隼駅を守る会」や、盆踊りや縁日を開く「八東駅を元気にする会」など、全9駅に応援団がある。16年発足の「若桜鉄道もりあげ隊」は、沿線の魅力を紹介する「わかてつ便り」を発行している。

 若桜町は今年4月、若桜駅前に、地元特産品の販売や飲食のスペースを備えた多目的店舗を開業。沿線に新たな魅力が加わった。若桜鉄道の矢部雅彦総務部長は「うちの魅力は、地域を挙げての応援」と胸を張る。

87年 第3セクターに

 若桜鉄道は元々、兵庫県までつなぐルートが検討されていた。しかし、1930年に郡家―若桜駅間が開通後、そこから先の路線は着工されなかった。

 当初は木材など貨物も運んでいたが、地元の基幹産業・林業が衰退し、旅客のみの輸送となった。旧国鉄時代は赤字路線で、国鉄分割民営化を機に、87年に第3セクター鉄道となった。

 全線開通時は7駅で、後に八頭高校前、徳丸の2駅が整備された。本社は若桜町。JR西日本の因美線に乗り入れている。

 2014年度まで3年連続で最終利益が赤字になるなど、経営危機に繰り返し直面してきた。14年の社長公募や15年の蒸気機関車(SL)試験走行など、様々な経営改革や話題づくりに取り組んできた。最近も若桜町が、運転士志望者を「地域おこし協力隊員」として募集したが、応募者はいなかった。

無断転載・複製を禁じます
1492293 0 経済 2020/09/21 14:11:00 2020/09/21 15:56:12 2020/09/21 15:56:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200921-OYT1I50034-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)