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【北京=小川直樹】新型コロナウイルスの世界的大流行が続くなか、各国の自動車メーカーが中国依存を強めている。景気がいち早く回復軌道に乗り、新車販売が急回復しているためだ。北京で26日開幕した北京モーターショーで各社は、スポーツ用多目的車(SUV)や電気自動車(EV)をずらりと並べ、発表会でも中国市場を重視する考えを強調した。

「今後のホンダの電動車の方向性を示す1台をお見せしましょう」。ホンダの中国法人トップ、井上勝史常務執行役員は発表会で、EV「ホンダSUVe」の試作車を世界初公開した。開発は中国・広州に構える研究所が主導。中国から世界展開を目指す戦略車と位置付けている。
発表会にオンラインで参加した日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「中国は日産にとってコアマーケット(核となる市場)だ」と訴えた。日産は2022年までに中国で新たに7車種も投じる計画も発表した。独フォルクスワーゲン(VW)の中国法人トップも「中国の潜在力はさらに強大になった」と持ち上げた。
背景には、中国の新車販売の力強い回復がある。
中国自動車工業協会によると、新型コロナの影響で2月は前年同月比79%減を記録したが、その後は政府の販売てこ入れ策が奏功。5月以降は前年同月比2桁増が続く。戻りが鈍い日米欧とは対照的だ。
VWは8月、全体の販売台数に占める中国の割合が約45%に達した。日産でも4月は6割近く、7月も3割以上ある。
中国で新型コロナの感染拡大が深刻だった2~3月、中国からの部品供給が滞り、自動車の生産に影響を与えたことは各国で問題となった。だが、足元での好調な販売を前に各社は「リスクという見方はしていない」(内田社長)のが実情で中国傾斜を一段と強めている。