読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

江戸川区が「金魚の三大産地」になったルーツとは…地下鉄の開通以降、業者激減

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 魚の卸売市場といえば、誰もがイメージするのは東京都江東区の「豊洲市場」だろう。一方で、魚は魚でも「金魚」の市場は江戸川区にある。区内では、毎年夏には多くの来場者が集まる「金魚まつり」が開かれるなど、同区は「金魚のふるさと」をアピールする。そのルーツと現状を探った。(古和康行)

優雅に泳ぐリュウキン(愛知県水産試験場提供)
優雅に泳ぐリュウキン(愛知県水産試験場提供)
競りに集まった金魚の卸業者たち(11月26日、東京都江戸川区で)
競りに集まった金魚の卸業者たち(11月26日、東京都江戸川区で)

 「さあ、いくら!」

 11月26日、同区船堀の都淡水魚養殖漁業協同組合が運営する市場で、競り人の威勢のいいかけ声とともに金魚の競りが始まった。この市場は1951年に開業した。1年に33回開かれる競りには、神奈川、千葉、埼玉県など都外からも卸業者が参加する。

 市場では、いけすに浮かべられた「活舟いけふね」と呼ばれる木の箱などに、金魚が種類ごとに分けられる。

 「テンガン!」「チョウマル!」――。卸業者が1匹あたりの金額を示す言葉を叫んで落札すると、業者名を油性ペンで書き入れた紙の札をいけすに投げ込んでいく。1時間ほどで、売り出された金魚とメダカの計約3万匹が取引された。売れ筋は「リュウキン」や「キャリコ」などの品種だ。

 長年、この競りに参加しているという、「神畑養魚東京支店」(千葉市)の大山茂樹さん(41)は「江戸川は伝統ある市場。上質な金魚が流通するので、業者にとっては欠かせない市場です」と教えてくれた。

 区が編集した資料などによると、中国原産の金魚が日本に伝来したのは、室町時代末期の1502年というのが定説だ。東京での金魚養殖は、元禄年間(1688~1704年)以前に現在の台東区の不忍池付近で始まり、入谷や根津などでも盛んに行われたという。当初は富裕層のペットとして人気を博したが、文化・文政年間(1804~30年)には大衆に広がった。その後、需要の高まりとともに養殖も盛んになっていき、1913年には現在の江東、墨田、江戸川3区が養殖の中心地となったという記録が残っている。

 23年の関東大震災以降、江東区の砂町地区が工業地化して埋め立て工事が行われ、金魚の生産ができる大きな池を確保することが難しくなったことなどから、江戸川区は全国有数の産地となる。54年には、都内の金魚の養殖業者の3分の2(20軒)が江戸川区に集まるほどで、愛知県弥富市、奈良県大和郡山市と並び、「金魚三大産地」と称されるようになった。

 江戸川区のホームページでは現在、金魚にまつわるキャッチフレーズとして「金魚三大産地」と「金魚のふるさと」の二つを使用している。同区産業振興課、岩久保徳さん(49)はその理由について、「区内の生産業者が大幅に減ったので、今は『ふるさと』というフレーズの方がふさわしいと思う」と説明する。

 同区で養魚場を営む、都淡水魚養殖漁業協同組合の組合長、堀口英明さん(69)によると、都内の生産業者は今は堀口さんともう1軒だけ。69年に営団地下鉄東西線(現東京メトロ東西線)が全線開通すると、区内の開発が進んで地価が高騰。固定資産税が増えて設備を維持する費用もかさむようになり、転業したり、池を区外に移動させたりする業者が増えたという。堀口さんも、体を壊したこともあって数年前からは金魚の生産をしておらず、小売りや仲買で生計を立てている。

 それでも、同区の夏の風物詩「金魚まつり」には例年4万5000人が来場し、金魚の即売会や金魚すくいを楽しむなど、金魚は根強い人気を誇っている。

 「体調も回復してきたので、来年からは金魚の生産にも挑戦しようと思っている」と堀口さん。江戸川が再び産地になる日が来るかもしれない。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
1683734 0 経済 2020/12/07 21:32:00 2020/12/08 10:25:50 2020/12/08 10:25:50 優雅に泳ぐリュウキン(県水産試験場内水面漁業研究所弥富指導所提供)弥富産の金魚(県水産試験場提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201207-OYT1I50033-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)