ニュース

自宅内、一人になれる「小屋」人気…隈研吾さん設計でも300万円程度で販売

無断転載・複製を禁じます

 庭などに気軽に設置できる「小屋」が人気を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅でテレワークをする場所としてや、「おうち時間」を快適に過ごすために購入するケースが目立つ。有名建築家が手がけた物件が手頃な価格で購入できるのも、好評の秘密だという。(下林瑛典)

 「新型コロナの影響で、家族が家にいる時間が増えた。たまに一人になりたいこともあり、そういう時に最適」

趣味を楽しむため、庭に建てた小屋(岡山県早島町で)

 2019年9月に自宅の庭に小屋を建てた、岡山県早島町の主婦(46)は笑顔を見せる。小屋では小物の手作りなど、趣味の時間を過ごすことが多い。コロナ禍で外出自粛の期間中、豪華な設備でキャンプをする「グランピング」を家族で楽しむことにも活用したという。

 岡山市中区の板金工事業「植田板金店」では、17年から「小屋やさん」というブランド名で、小屋の販売を始めた。当初から売り上げは順調だったが、新型コロナが感染拡大した昨年春以降、「在宅ワークで使いたい」などの問い合わせが急増。通常、月の契約件数は5件程度だが、9月には過去最高となる11件が成約に至った。

 同社によると、人気を支えているのは、普通の家と遜色のない性能や設備を兼ね備えながら、手軽に建築できる点だ。壁に使う断熱材などの建材は一般住宅と同じで、温度を一定に調整できるため季節を問わず快適に利用出来る。購入者の希望に合わせ、シャワーなどの設備も取り付けられ、ペット専用の部屋やネイルサロン、英会話教室など、様々な用途で使われている。

 また、原則10平方メートル以下であれば、建築確認申請が不要のため、自宅の敷地など土地さえ確保できればすぐに建てることができる。価格も約60万円~150万円と、軽自動車を購入する程度の負担で済む。

 さらに、同社では建築家・隈研吾さんが設計した小屋も300万円程度で販売。通常では手が届かないあこがれの建築家の物件も、小屋であれば入手できる。植田博幸社長(47)は「予想を上回る売れ行き。不用になれば、簡単に転売できるのも魅力の一つ」と話す。

 全国的にも、小屋の利用は増加している。無印良品を運営する良品計画(東京都豊島区)は17年の販売開始以降、沖縄県を除く46都道府県での建築が可能に。同社の担当者によると、当初はファミリー層の購入を想定していたが、観光地で余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」を取り入れた企業の購入が多いという。

 立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は、「日本の住宅は、共有部分が多い。新型コロナで在宅ワークで個別スペースが必要になったため、ニーズが急激に強まった。当面、人気は続くのでは」と話している。

経済
ページTOP