雪不足の近年、雪が多い今年はコロナ禍…存続に苦しむスキー場
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新型コロナウイルスが、スキー場にも打撃を与えている。近年の雪不足で厳しい経営が続く中、今冬は雪に恵まれ、客足は戻りつつあったが、感染対策の費用がかさみ、緊急事態宣言の再発令が追い打ちをかける。ゲレンデを大幅に縮小して営業するところや営業を断念するスキー場も出ている。
「存続できない」

「昨季は雪不足。今季はコロナ禍。2年連続で厳しい」。福井県大野市の福井和泉スキー場の土本裕和支配人(50)はこぼす。
福井地方気象台によると、2019年12月~昨年2月の同市の降雪量は35センチしかなく、同スキー場では1990年の開業以来最少の6日しか営業できなかった。今季は昨年12月だけで128センチの雪が降ったが、コロナという問題にぶつかった。
感染対策として、レストランにテーブルを仕切るアクリル板を設置したほか、リフト待ちで距離を空けるよう案内したり、消毒したりする専属の係員も雇用し、費用が重くのしかかる。
同スキー場の来場客は中京地域からが6割を占め、名古屋駅と結ぶ直行のツアーバスが1日1便運行されているが、外出自粛の影響か、平日は最少催行人数に満たず、運行できない日も多い。東京や大阪などへの緊急事態宣言の再発令で、都市部への営業活動も難しく、土本支配人は「今後どれだけ影響が広がるのか読めない」と表情を曇らせる。
福井県南越前町の今庄365スキー場は「不特定多数の客が訪れるため、感染リスクが避けられない」と今季の営業を断念した。
鳥取県大山町のだいせんホワイトリゾートでも、宣言再発令後、スキー研修を予定していた高校からのキャンセルが約10件相次いだ。今季はコースを半分程度に絞って営業している。
外国人客望めず
訪日外国人客に人気だったスキー場への影響も大きい。
新潟県は近年、「スノーリゾート新潟」と銘打ち、訪日外国人の誘致に力を入れてきたが、今季は絶望的。先月24日からリフト券などを半額に割り引くキャンペーンを始め、国内客の呼び込みを図ってきたが、今月9日、新規発売を当面停止した。
北海道のニセコ地区も国内誘客に方針転換。同地区の
「今をしのいで」
六甲山スノーパーク(神戸市灘区)は昨年11月の営業開始後は平年並みの客足だったが、年明けの緊急事態宣言後に落ち込み、前年の半分以下になっている。
苦境のスキー場を支援しようと、兵庫県は19年度、人工造雪機などの導入助成事業を設け、20年度は予算を4・5倍の4億5000万円に引き上げた。県の担当者は「何とか今をしのいでほしい」と話す。
広島県庄原市のスノーリゾート猫山の運営会社は、昨年秋、クラウドファンディング(CF)でスキー場の運営費300万円を調達した。安定した収入源を確保するために、新年度から林業にも本格進出する。
山口和男社長は「地域の文化でもあるスキー場を守っていきたい」と話した。
スキー・スノボ人口、10年間で半減

スキー場を取り巻く環境は厳しい。公益財団法人・日本生産性本部の「レジャー白書」によると、2019年にスキーやスノーボードを楽しんだ人は510万人で、10年間で半減した。
スキー場の閉鎖も相次ぎ、一般財団法人「日本鋼索交通協会」によると、昨年1月現在、全国でリフトなどがあるスキー場は467か所で、ピークだった1999年(698か所)の3分の2に減った。