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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「硬貨」。
窓口で大量の硬貨を預け入れる際に手数料を課す金融機関が急速に増えている。1円や100円といった硬貨の種類に関係なく、「101~500枚で550円」が平均的な相場となる。この結果、大量の1円玉を預けても全て手数料に取られ、「1円玉は持つだけ損」という状況になりかねない。
「1円玉お断り」駄菓子屋の悲鳴
「当店は1円玉の利用はできません」。東京都北部にある駄菓子屋は、店内にこんな掲示を貼り出している。たとえば税込み110円のお菓子を買う時でも、「100円玉と5円玉を各1枚、1円玉を5枚」といった支払いは遠慮してもらう。1日50~60人の来店客の半数は近所の小学生が占め、以前は1円玉を握りしめて来る子供も多かった。男性店主は「1円玉で支払いを受ければ商売にならない。背に腹は代えられない」と肩を落とす。
駄菓子屋の苦境は、硬貨を入金する際にかかる手数料に原因がある。多くの金融機関は、現金自動預け払い機(ATM)での硬貨受け入れを1回あたり100枚までとしている。これより多いと窓口に持ち込む必要があり、その際、500枚までは「550円」、その後は500枚増えるごとに「550円」ずつ上がるのが標準的な水準となる。窓口でも100枚まではATMと同様に無料だ。
1円玉でも500円玉でも同じ1枚と数えられ、数千枚、数万枚の1円玉を持ち込んでも手数料の方が高くなり、口座への入金額は「0円」だ。10円玉だけ500枚入金する時でも11%分に相当する550円の手数料がかかる。薄利多売の駄菓子屋をはじめ、多くの小銭を扱うゲームセンターやさい銭を受け入れる寺社にとっても深刻な問題といえる。