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「日本一の茶処」揺らぐ静岡…鹿児島が猛追「いつ抜かれてもおかしくない」

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 「日本一の茶処ちゃどころ」である静岡県の地位が揺らいでいる。農林水産省が19日に公表した2020年の荒茶生産量で静岡は2万5200トンとなり、公表記録が残る1959年からの首位を維持したものの、2位の鹿児島県が2万3900トンと猛追している。消費者の飲み方としてペットボトル茶が増えていることと、機械化による生産の効率化に差が出ていることが背景にある。(余門知里)

■占有率縮まる差

春の新茶シーズンの到来を待つ茶畑(20日午前、静岡県富士市大淵の大淵笹場で)
春の新茶シーズンの到来を待つ茶畑(20日午前、静岡県富士市大淵の大淵笹場で)

 荒茶は茶葉を製品として仕上げ加工する前の状態を言う。農水省によると、国内の荒茶生産量は、前年比15%減の6万9800トンだった。シェア(占有率)は静岡が約36%、鹿児島が約34%とわずか2ポイント差だ。

 かつて両県の生産量には大きな差があった。農水省の公表統計を見ると、1959年は静岡が約4万7900トンで、鹿児島は静岡のわずか約6%にすぎない約2700トンだった。

 静岡は長年、国内トップを走り続けていたものの、80年代半ばから緩やかな下降傾向に入った。一方の鹿児島は2000年代に入って生産量を大きく伸ばした。その差は年々縮まっており、静岡県関係者は「いつ抜かれてもおかしくない」と警戒する。

■年に数回収穫

 鹿児島の茶業関係者によると、鹿児島では戦後、温暖な気候をいかした紅茶の生産に力を入れていた。それが、安価な海外製品に太刀打ち出来ず、苦しい状況に追い込まれ、1960年代に緑茶に転換し始めた。関係者らは静岡県などから栽培技術を学び、生産量を増やしていったという。

 鹿児島は2020年の実際に茶を摘んだ面積(摘採実面積)が7970ヘクタールで、静岡(1万3700ヘクタール)の6割に満たない。それでも肉薄しているのは、鹿児島が生産の機械化を進めているためだ。農水省によると、鹿児島は収穫のための乗用型機械の導入率が97・5%に達する。

 一方の静岡は鹿児島と比べて急斜面で栽培する茶園が多いために乗用型での機械化が難しく、65・8%にとどまる。香りやうまみにこだわっており、これには寒暖の差が大きい山あいが適しているという事情がある。

 また、鹿児島は需要が拡大するペットボトル茶向けに注力しており、年に複数回、収穫している。一方の静岡は、急須でいれるお茶(リーフ茶)が主流で、国内消費が伸び悩んでいる。

■質にこだわり

 静岡県の担当者らは、「(今回の公表で首位を維持出来て)安心した」と話した。そのうえで、「効率的に生産することが必要だが、質の高い静岡茶を守っていかないといけない」と、日本一の茶処としてのジレンマも吐露する。

 県内では、急須でいれるお茶を味わう文化が今でも生活に深くしみこんでいる。こうした環境もあり、生産者の中には生産量を重視することを疑問視する声も多い。「富士山まる茂茶園」(富士市)の本多英一社長(36)は「量が多くても消費者の価値にはつながらない。『このお茶だから飲みたい』というものを作りたい」と語った。

 ただ、新型コロナウイルスの影響による外出自粛のため、昨年からペットボトル茶を含め、茶の需要は減っている。県茶業会議所(静岡市葵区)の伊藤智尚のりひさ・専務理事(61)は「若者にも面白がってもらえるような新しい消費を生み出し、全国規模で『お茶好き』を増やしていきたい」と話した。

 鹿児島県の茶業関係者も同様の考えで、「静岡を抜いたとしても、業界は厳しい状況にあり、手放しで喜べない。静岡とも手を組んで、オールジャパンで普及に取り組んでいきたい」としている。

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1858055 0 経済 2021/02/21 15:03:00 2021/02/21 17:35:36 2021/02/21 17:35:36 春の新茶シーズンの到来を待つ茶畑(20日午前11時16分、富士市大淵の大淵笹場で)=村瀬駿太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210221-OYT1I50018-T.jpg?type=thumbnail

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