【独自】地震後20~30分で津波被害推定、北海道から鹿児島にエリア拡大…東北大など開発
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東北大と大阪大、NECなどは、鹿児島県から北海道まで太平洋岸の海岸線約1万3000キロについて、地震発生から20~30分で津波による被害を推計するシステムを開発した。結果は国などに即座に配信する。人命救助や復旧に向けた計画を迅速に作れるようになることが期待される。

両大に設置されたスーパーコンピューターが、気象庁や国土地理院が観測する地震の規模や地殻変動の情報を基に、地形や市街化の状況なども加味し、浸水の範囲や深さ、流失する建物数を30メートル四方ごとに推計する。
システムは2018年から本格的に運用している。当初は鹿児島県から静岡県の太平洋沿岸域の約6000キロが対象だったが、20年に茨城県までの約8000キロに広げた。今年4月には情報の処理能力が約4倍となる最新のスパコンの運用を始め、範囲を約1・6倍に広げる。日本海側への拡大も検討していくという。
東日本大震災では、交通や通信網が大きく寸断され、被害の把握に時間を要した。国などがシステムによる推計結果を活用すれば、支援が必要となる場所やそこに向かうルートなどを素早く割り出すことができるようになる。
富士通も東北大などと、沖合で観測された津波情報から数秒以内で沿岸部の浸水状況を推計する人工知能(AI)を開発した。市販のパソコンでも使うことができる。自治体などでの利用を想定し、2年後をめどに実用化を目指している。震災から10年の節目を迎え、被害を早期に予測し、被害を軽減しようとする研究が進んでいる。