ホームから「はみ出る特急」解消目指す駅、高校生は「何度見ても面白いのに」
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記者(27)が兵庫県姫路市から明石市の実家に帰る際は、山陽電鉄(

平日昼間の2月19日、大塩駅のホームで取材した。15分に1本の割合で停車する神戸や大阪方面の上りの特急は、6両目がホームからはみ出したまま。先頭から5両目までのドアのみ開く。鉄道写真の愛好家「撮り鉄」の間でも有名な場所だという。
昔はもちろん、そんなことはなかった。大塩駅は1923年の開業。長らく4両編成の運行だったが、阪神電鉄との直通運転を見据えた輸送力増強で6両編成化し、91年4月から現在の“非常事態”となった。
姫路方面の下りホームは6両分の長さが確保できたが、上りホームは、下りホームと行き来するための構内踏切があり、さらにホーム両端に一般の踏切があるなど、当初の4両から97年の改良工事で、5両分を確保するのが精いっぱいだった。

ドアカットは、そもそもどうするのか。山電によると、大塩駅の前の停車駅を出発後、運転士が運転台で鳴らしたブザーの合図で、車掌がドアカット用のスイッチを入れる。そうすれば、6両目のドアは開閉しないように。スイッチの入れ忘れを防ぐため、駅ホーム後方に「扉カット確認」と書かれた表示板で注意を促す。
乗客に対しても、姫路駅や飾磨駅などのホーム上に「大塩駅では、この車両の扉は開きません」と表記。車内でも、車掌が「大塩では後ろ1両の扉が開きません。お降りのお客さまは前5両をご利用ください」と呼びかける。それでも、時々、前の車両に移り、慌てて降りる乗客を見かける。


山電は2019年11月、ドアカット解消に乗り出した。橋上駅舎化して構内踏切を解消し、ホームを延長する。今年3月に完成予定だったが、新型コロナウイルス禍で作業時の密を避けるために工事が遅れ、6両対応は1年ずれる見通しだ。
経営統括本部の総務・広報担当の中川
一方、取材当日も撮り鉄の姿があった。神戸市灘区の高校生(16)は期末テスト終了後の休日に足を運び、「ホームに電車が収まりきらないのが『なんでや?』となる。何度見ても面白いのに」と、名所解消を残念がる。記者にとっても、姫路に赴任したからこその出会い。物心ついた頃からの、山電愛がますます深くなった。
「ドアカット」は、嵯峨野観光鉄道のトロッコ嵐山駅(京都市)でも6両のうち2両がトンネル内に停車するために実施。「観光客が撮影を楽しむ一方、新型コロナ禍前は乗り過ごす訪日外国人客もいた」と担当者。過去には、山電の飾磨駅(姫路市)や阪急電鉄の川西能勢口駅(川西市)、阪神電鉄の阪神三宮駅(現・神戸三宮駅=神戸市)などでも見られたが、駅舎の改良で解消した。