読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

雇調金の給付急増、深刻な財源不足…負担巡り国・企業さや当て

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 コロナ禍の長期化で、「雇用調整助成金」の財源不足が深刻化している。支給額が想定を大幅に上回っており、政府が特例で財源を穴埋めしている状態だ。制度が揺らげば、雇用に悪影響が及びかねない。

失業率抑制

 雇用調整助成金は、景気の悪化で失業者が増えるのを抑える狙いがある。財源は企業が支払う雇用保険料だ。厚生労働省は、2020年度は約6000億円の収入に対し、35億円の利用を想定していた。近年、支給額は年数十億円だったためだ。

 しかし、コロナ禍で、雇用は維持されているものの休業を余儀なくされる人が急増。企業の休業手当の支給も増え、雇用調整助成金の支給決定額は昨年2月以降の累計で、2兆9679億円(5日時点)に達した。企業への助成率や従業員1人あたりの支給上限額の引き上げといった特例措置もあり、リーマン・ショック後の09年度(6534億円)の4倍以上に膨れあがっている。

 SMBC日興証券は、雇用調整助成金が完全失業率を0・7%程度下押ししたと試算する。20年平均の完全失業率は2・8%で、一時5%を超えたリーマン・ショック後よりも低かった。

異例の策

 雇用調整助成金向けの積立金は、19年度末に約1・5兆円あった。支給増で全額を取り崩しても足りなくなる見通しとなり、政府は特例法で一般会計から1・1兆円の支出を決めた。さらに、失業手当などに使う別の積立金からは20年度に約1・1兆円、21年度に約6100億円を、雇用調整助成金の積立金に貸し付けられるようにした。

 ただ、厚労省の試算では、失業手当向けの積立金も21年度には大幅に減少する。失業手当を受けている人は1月で約44・8万人で、前年より2割弱増えた。今後雇用情勢が悪化した場合の給付や、国の就業支援事業などが制約を受ける恐れも出ている。

予防線

 財源をどう確保するか。経済界では国の財政負担の拡大を求める声が強い。経団連の担当者は、「雇用調整助成金は政府の感染症対策として活用されている。企業負担には限界がある」と主張する。

 支給の急増を受けて、雇用保険料率は22年度に引き上げが見込まれているが、日本商工会議所は、「最低賃金の引き上げなどで人件費の負担が増している。引き上げは厳しい」とする。

 一方、新型コロナウイルスワクチンの普及などで経済活動が正常化すれば、企業収益が改善する可能性もある。財務省幹部は、「国費の投入は、あくまで非常時の対応であるべきだ」と予防線を張る。財政赤字が一段と拡大したり、国費への依存が高まったりすることを警戒する。

 雇用調整助成金の支給額は中小企業向けが大部分を占めるとみられる。コロナ禍の収束は見通せず、支給額が今後も拡大するのは避けられない。財源負担のあり方を早急に詰める必要がある。

 ◆雇用調整助成金=企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補助する制度。国の労働保険特別会計で管理され、企業の雇用保険料を財源に支出される。雇用保険料は企業が支払う賃金総額の0・3%分。従業員の負担はない。同特別会計には、失業手当などの支給に備えた別の積立金もあり、財源は企業と従業員が折半する保険料が充てられている。

無断転載・複製を禁じます
1898878 0 経済 2021/03/10 05:00:00 2021/03/10 16:04:12 2021/03/10 16:04:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYT1I50007-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)