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択捉島にリゾート計画、露が観光開発に本腰…不法占拠の既成事実化狙う意図か

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 【モスクワ=工藤武人】ロシアのプーチン政権が、北方領土の観光開発に本腰を入れ始めた。日露両国による北方領土での共同経済活動では観光分野の本格実施が期待されており、ロシアの「独断専行」には、北方領土の不法占拠を既成事実化する意図があるとみられる。

 北方領土を事実上管轄するロシア極東サハリン州の幹部が今月4日、州議会に観光開発の計画を説明した。インターファクス通信などによると、州幹部は、択捉島のバランスキー山(指臼岳、標高1125メートル)の麓にスキー場やゴルフ場と温泉、ホテル(約700室)を備える通年型施設「エトロフ・リゾート」を5年で開発する計画を披露した。

 州幹部は「年間約6万人を誘客し、半分は外国人を見込んでいる」と実現に意欲を示した。総事業費は約215億ルーブル(約320億円)で、プーチン政権に近いとされるロシアのリゾート開発大手が中核となる。

 北方4島(択捉、国後、色丹、歯舞群島)は総面積約5000平方キロ・メートルと千葉県と同程度ながら、人口は約1万8000人にとどまる。手つかずの自然を活用し、国後、色丹両島にエコ・ツーリズムを主眼とする観光エリア「南クリル諸島」を整備する計画もある。

 

 北方領土にロシア側の査証(ビザ)による外国人観光客が増えれば、北方領土は「自国領」とのロシア側主張が既成事実化する恐れがある。共同経済活動についてロシア側と協議を続ける日本の外務省は「報道で承知している程度だが、北方4島に対する日本の立場と相いれない」(日露共同経済活動推進室)と不快感を示す。

 プーチン政権は、北方領土問題について日本側と「議論さえできない」(露外務省報道官)との発言が飛び出すなど態度を硬化させているが、日本との経済協力には意欲的だ。計画の実現には資金調達が課題となっており、今後、日本側に参入を呼びかけてくる可能性もある。

 ◆共同経済活動=北方領土でロシア側と日本企業の合同出資などで実施する経済活動。2016年に実施に向けた協議開始で合意した。観光やゴミ処理など5分野での実施を目指す。観光では19年に日本人による試験的な観光ツアーを実施したが、両国の法的立場を害さない「特別な制度」の設計が課題で、本格実施の見通しは立っていない。

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1913756 0 経済 2021/03/16 15:00:00 2021/03/16 15:12:22 2021/03/16 15:12:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210316-OYT1I50052-T.jpg?type=thumbnail

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