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インターネットで資金を募る「クラウドファンディング(CF)」が、日本で本格的に普及してから今年で10年となる。商品開発から地域おこし、被災地支援まで幅広いプロジェクトで活用され、コロナ禍で利用が急拡大し、昨年の支援額は過去最多となった。一方、企画者の説明が不十分だったり、プロジェクトが実行されなかったりといったトラブルも目立ち始め、信頼性の担保が課題となっている。(新田修)
過去最多223億円

CFは2000年代に欧米で始まり、日本では東日本大震災の被災地支援をきっかけに普及。11年3月に始めた運営会社「レディーフォー」(東京)が草分けとされる。
「日本クラウドファンディング協会」によると、昨年1~6月に支援の見返りに商品を送る「購入型」のCFで主要7社が集めた支援金は223億円で、前年1年間の169億円を上回り、過去最多となった。
コロナの影響とみられ、医療従事者や飲食店などを支援するプロジェクトが実施され、CF運営各社の支援額を底上げした。
松山市でラーメン店を営んでいた加藤知保さん(44)は昨年11月、火事で店が全焼した。コロナ禍で借金もあり、廃業も考えていたところ、友人にCFを紹介され、1か月足らずで300万円もの支援が集まった。
5月に店を再建予定で、加藤さんは「見ず知らずの人がこんなに支えてくれるなんて」と驚きを隠さない。
不十分な説明
救われる人がいる一方、トラブルも起きている。
「100円ショップにある商品を、CFで2500円で売っている業者がいる」。昨年末、読売新聞にこんな情報が寄せられた。
商品は、定規やドライバーなどの機能を備えた財布に入る大きさの「カード型マルチツール」。大手CFサイトに、開発支援を呼びかける企画が掲載され、1口2500円の支援で商品を提供するとしていた。
サイトでは「現在工場とデザインなどを調整中」とも書かれ、商品の仕様や写真も掲載。しかし、記者が100円ショップに行くと、確かに機能やデザインが酷似した商品が売られていた。
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