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全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングス(HD)が30日に発表した2021年3月期連結決算は、最終利益が4046億円の赤字(前期は276億円の黒字)だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客数が激減し、過去最大の赤字を計上した。
ANAHDの片野坂真哉社長は同日、オンラインで記者会見し、「国際線、国内線がともに低迷し、コスト削減は収入の減少を補うには至らなかった」と厳しい表情で語った。
22年3月期の最終利益は35億円の黒字を見込んだ。新型コロナウイルスのワクチン接種が拡大することを前提に、国内線を中心として旅客需要が回復すると見込んだ。片野坂社長は「固定費を中心にさらにコスト削減を進めたい」とする一方、雇用は引き続き堅持する方針も強調した。
同社は昨秋、業績悪化を受けて打ち出した事業構造改革に基づき、コスト削減に取り組んでいる。21年3月期は、社員の外部出向を進めて人件費を圧縮したほか、燃費の悪い大型機から、中・小型機への移行を進めて燃料代も削減するなどした。この結果、昨年10月時点で5100億円と予想した最終赤字額からは1000億円強改善した。
ただ、先行きは楽観視できない。22年3月期の黒字化達成の前提となるワクチン普及が後ろ倒しになれば、その分業績に悪影響が懸念される。また、当面の資金繰りに万全を期するために進めた巨額資金調達の結果、有利子負債が3月末時点で1兆6554億円と大幅に膨張し、前期比2倍超となっている。今後は負債の圧縮、重たい利払いと向き合うことになり、経営を巡る課題は山積みだ。