「無個性」だった女子学生、人生と向き合い家を飛び出す…「食用バラ」にかけて起業

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田中綾華さん 「ROSE LABO」(埼玉県深谷市)社長

 「将来はOLに」と思っていた女性が、農業分野で会社を起こし、わずか3年で、売上高が1億円を超えるところまで成長させた。無農薬で食用バラを水耕栽培し、バラを使ったジャムや化粧品の開発・販売なども手がける「ROSE(ローズ) LABO(ラボ)」(埼玉県深谷市)の社長・田中綾華さん(28)だ。経営者として注目される彼女に、起業のいきさつや、その後の奮闘、事業運営の秘訣(ひけつ)を聞いた。(文化部 十時武士)

漁で使った縄がジャケットに変身…「地域アピールの機会にも」
田中綾華さん(埼玉県深谷市で)=大原一郎撮影
田中綾華さん(埼玉県深谷市で)=大原一郎撮影

  • たなか・あやか  1993年生まれ、東京都出身。二松学舎大を中退後、2015年に起業。製品は、全国の百貨店など約130店舗のほか、インターネットでも販売されている。

年間27万輪のバラを生産

 赤、白、ピンク。5月初旬、ビニールハウスの中は満開のバラでいっぱいだった。人の肩あたりまで伸びた枝に埋もれるように、手袋をしたエプロン姿の女性が手入れをしていた。こう見えて、計約3300平方メートルのビニールハウスで年間27万輪のバラを生産する会社の社長だ。

自分の人生をどうしたいか…自問自答

 高校時代は、特に勉強ができたわけでも運動ができたわけでもなかったという。「ファッションやメイクの話をして楽しむ。今が幸せだったらいいという、無個性な女子高生でした」。だが、大学に進学して早々、衝撃を受けた。ゼミに出て、自己紹介をした時のことだ。「地方から来た子たちは同い年なのに、みんなそれなりに夢とか目標があった。私は何もなくて、『パス』みたいな。私、今まで何してきたんだろうと。何もちゃんとやっていなかったなと思って」

 自分の人生をどうしたいか、自問自答した。「幸せになりたい」しか出てこなかった。では幸せになるにはどうしたら良いか。頭の中で考えても、まとまらないので、「これはちゃんと言語化しよう」と、思っていることをノートに書いて整理することを始めた。すると、老後を除けば、1日24時間のかなりの部分を「仕事」が占めることに気がついた。「それなら仕事が楽しくなかったら、人生はつまらなくなる。好きなことを仕事にしよう」

バラ好きだった曾祖母の姿浮かぶ

 ふと思い浮かんだのは、曽祖母が好きだったバラ。夫が早く亡くなり、引き継いだ会社を経営していた曽祖母は、会社を成長させながらも、気さくで、女性としても魅力的な「憧れの存在」だった。「ひいおばあちゃんは、『バラのように(りん)とした、しなやかな女性になろう。バラは女性を強くする』が口癖で、家に行くと、コップとかハンカチとかカーテンとかがバラ柄でした。それで私もバラ好きに育っていました」。母が「食べられるバラがあるんだよ」と教えてくれたのもヒントになり、食用バラの栽培を仕事にしようと決意した。

大学中退し、バラ農家で修行

 突然、インターネットで見つけたバラ農家に修業に行くと言い出した娘に、両親は大反対した。

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2040899 0 経済 2021/05/10 15:00:00 2021/07/08 12:43:27 2021/07/08 12:43:27 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210506-OYT1I50012-T.jpg?type=thumbnail

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