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「皿鉢を出すと尾のほうからなくなる」四万十川の天然ウナギ

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 中学生の頃、広島県の山あいの渓流でウナギを手づかみしたことがある。かば焼きにして口に入れると、独特の味に驚いた。それから三十数年、養殖ものを食べるたび「何か違う」と首をひねっていた。それが先頃、「四万十川の天然ものはどう?」と先輩が薦めてきた。あの感覚がよみがえるかもしれない。老舗の川料理店「四万十屋」(高知県四万十市山路)を訪ねた。

炭火で焼く天然ウナギ。素早く動かしながら焼いていく(高知県四万十市で)
炭火で焼く天然ウナギ。素早く動かしながら焼いていく(高知県四万十市で)
四万十屋で特別に用意してもらったうな重。上が天然、下が養殖
四万十屋で特別に用意してもらったうな重。上が天然、下が養殖

 「養殖と天然ものは別物ですよ」。訪れた創業54年を迎える四万十屋社長、田村吉教さん(69)は開口一番、そう言った。

 扱うウナギは、川エビや小魚などエサが豊富な四万十川河口から5~10キロにすむ。5~7年ものが中心だ。シラスウナギを半年~1年半で育てる養殖ものとはエサの質や運動量が違う。

 捕獲場所や季節も味や香り、甘みを左右する。春から初夏は「あっさり」。秋には「こってり」。田村さんの好みは「8、9月」という。

 店先のバケツに数十匹がうねっていた。漁獲量は減少気味というが、ベテラン川漁師の森健介さん(71)は「漁師の数は減っているけど、まだ、それなりの量は上がっているよ」と話す。養殖に比べ、背は黒く腹は黄色い。1、2日ほど、生け簀いすで泥を吐かせた後に焼き上げる。

 川面を望む座敷で、うな重をいただいた。違いを確かめるため、特別に土佐市産の養殖ものも用意してもらった。まず養殖をパクリ。歯ごたえがあるかないかの、ふっくらした感触。心が安らぐ。おいしい。

 次は天然もの。一口で「歯ごたえ」を感じた。身の締まりが違う。10代の記憶がよみがえった。自然の川で生きていた野性味が香りとなって口内に広がる。

 頭から尾の方に向かって食べ進めると、味が濃くなっていくことに気づいた。田村さんが教えてくれた。「天然ものは尾っぽを激しく動かして生きているからでしょう。皿鉢さわちを出すと、なくなるのは尾のほうからです」。

 新型コロナウイルスの影響で客足が止まり、天然ものは行き場を失った。だが店が昨春、オンライン販売を開始。四万十市のふるさと納税の返礼品にもなり、注文が全国から舞い込んでいる。「天然の味を知ってくれる人が増えた」と喜ぶ田村さん。わざわい転じてたどり着く、野生の味がここにある。(阿部俊介)

 [MEMO] 四万十屋では、天然うな重(4480円)に加え、より自然に近い環境で養殖した「地然鰻じねんうなぎ」のうな重(3260円)も提供。アユの塩焼き、川エビのから揚げなども楽しめる。オンラインの天然ウナギかば焼きは6500円。問い合わせは、四万十屋(0880・36・2828)。

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2058315 0 経済 2021/05/17 18:14:00 2021/05/17 22:39:51 2021/05/17 22:39:51 四万十屋で特別に用意してもらったうな重。上が天然、下が養殖。(四万十市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210516-OYT1I50018-T.jpg?type=thumbnail

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