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厄介なウニ、「愛南ゴールド」を覆うように食べて…身入り・甘み増して柑橘風味に

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 沿岸漁場の海藻を食べ尽くす「磯焼け」の元凶となるウニを捕まえ、食用に養殖する試みが広がっている。特産の野菜や柑橘かんきつの廃棄部分をエサにし、味や身入りの良い「ご当地ウニ」として育てる。資源を活用して海の環境を守り、水産業の振興も図る取り組みとして注目されている。(喜多河孝康)

特産果物で甘み増し「柑橘風味」に

愛南ゴールドの果皮やブロッコリーの茎をエサに養殖するウニを確認する清水さん(愛南町で)
愛南ゴールドの果皮やブロッコリーの茎をエサに養殖するウニを確認する清水さん(愛南町で)

 愛媛県愛南町の宇和海にあるいけすで、町水産課の清水陽介さん(37)が金属製の籠を引き上げると、ウニの一種「ガンガゼ」が特産の河内晩柑ばんかん「愛南ゴールド」の果皮やブロッコリーの茎を覆うようにして食べていた。町が愛媛大と協力し、2018年11月に始めた試験養殖だ。

 沿岸では近年、水温上昇の影響などでガンガゼが大量発生。磯焼けが広がり、ダイビング中の観光客が毒のある針で負傷する被害も出ている。

 エサとなる海藻が乏しくなった海で育つウニは、痩せて身が少なく、苦みやえぐみが強くなる。高級食材として知られるバフンウニやムラサキウニでさえ、食用に適さなくなる。

愛南ゴールドの果皮を覆うようにして食べるウニのガンガゼ
愛南ゴールドの果皮を覆うようにして食べるウニのガンガゼ

 試験養殖では、地元JAから提供された規格外の愛南ゴールドなどを週1、2回ほど与える。1~3か月で身入りや甘みが増し、柑橘風味のウニに仕上がる。

 町はいけすで2000~2500匹を養殖し、昨年12月から町内のレストランで提供。今後は出荷量を安定させ、「柑橘風味のウニッコリー」としてブランド化を目指す。清水さんは「味は好評でいつも完売。新たな特産とし、養殖業を活気づけたい」と意気込む。

「キャベツ」「トマト」…野菜で育つウニ

「柑橘風味のウニッコリー」
「柑橘風味のウニッコリー」

 雑食という特性に着目し、駆除したウニを野菜などで育てるアイデアは、6年前に神奈川県水産技術センターが考案したとされる。試行錯誤する中で特産のキャベツを与えると、特に甘みが強くなったという。県は昨年、「キャベツウニ」として商標登録し、地元漁協などが養殖して1匹300~400円で販売する。

 国産ウニはほぼ天然物で、北海道、東北が9割以上を占めるが、養殖はどこでもでき、コストも安くすむ。同センターの臼井一茂・主任研究員は「視察が相次ぎ、印刷会社など異業種からも問い合わせがある」と語る。

 試みは各地に広がる。近畿大は19年から、駆除されたムラサキウニを引き取り、和歌山県白浜町でミカンの皮などで「近大産ウニ」として養殖。瓶詰ウニ発祥の地とされる山口県下関市では、行政や金融機関がウニ養殖の事業化を目指す「下関ウニベーション推進協議会」を設立し、トマトなどで育てる。

藻場4割減少

 海藻が茂る藻場もばは、魚介類の生息に適し、水質の浄化にも役立っている。しかし、磯焼けは全国で広がり、国の調査では、16年の藻場面積は40年前より4割減少して12万6000ヘクタールとなった。4分の1はウニによる食害とみられ、漁業にも深刻な影響が懸念される。

 水産庁は、藻場の造成や保全、ウニ駆除などの磯焼け対策で自治体を支援し、助成も実施。3月改訂の「磯焼け対策ガイドライン」では、「食べる磯焼け対策」としてキャベツウニの事例などを紹介している。

 同庁の担当者は「廃棄される野菜を活用するため環境に優しく、磯焼け問題への意識も高まる。養殖や加工、販売の仕組みを整え、産業として確立できるよう後押ししたい」と話した。

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2079672 0 経済 2021/05/26 15:05:00 2021/05/26 15:05:00 2021/05/26 15:05:00 愛南ゴールドの果皮やブロッコリーの茎をエサに養殖するウニを確認する清水さん(愛媛県愛南町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210525-OYT1I50079-T.jpg?type=thumbnail

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