完了しました
湊 三次郎さん(銭湯活動家)
レトロな雰囲気が若者に受けるなど、注目を集める銭湯。ブームのきっかけを作った一人が、銭湯文化の継承のため、京都や愛知などで老朽化した6軒の経営を引き受けている湊三次郎さん(30)だ。「銭湯活動家」を名乗る。「もうこれ以上、火を消したくない」との思いを胸に、新たに経営を任せてくれるオーナーを探し、走り回っている。(生活部 崎長敬志)

- みなと・さんじろう
1990年、静岡県浜松市生まれ。ゆとなみ社代表。本名は
雄祐 だが、「響きがいいから」と、銭湯活動家としては、曽祖父の名前、三次郎を使っている。
壊れたボイラー取り換え、左官工事も
1950年頃に開業した愛知県豊橋市の銭湯「
再開に向けて約3か月間、豊橋に滞在しながら、壊れたボイラーの取り換えや浴槽タイルの左官工事などを団体メンバーと行った。費用の一部はクラウドファンディングで賄った。男女共用のロビーを設けて明るく生まれ変わり、多くの客が訪れる。

新たに経営を託してくれるオーナーを見つけるのは、容易ではないという。「本音を言えば、銭湯は無理な商売です。オーナーにしても、壊してマンションを建て、家賃をもらった方がいい。それでも、『本当は続けたいが、自分ではできない』という人もいるはず。とにかく多くのオーナーに会って、話をしてみるしかありません」
実際の経営も一筋縄ではいかない。客を増やすため、若者に関心を持ってもらおうと、銭湯の定番・瓶入り牛乳が冷えた様子をSNSでアピールするなど、地道な工夫を重ねる。「好きという熱い思いが原動力になっています」
アパレル系会社から転身
元々は、一銭湯ファンだった。大学進学で住み始めた京都には古い銭湯も多く、「京都の学生なら行くでしょ」と軽い気持ちで訪れたのがきっかけで、古びた雰囲気にはまった。銭湯のある街並みから醸し出される生活感にも心が反応した。