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リチウム電池、増産急げ…自動車業界の生存競争左右も

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 大手自動車各社が、電気自動車(EV)の中核部品となるリチウムイオン電池の生産・調達を急いでいる。「脱炭素化」に伴う車の電動化の流れが加速し、車載用電池は大幅な供給不足が見込まれる。生産コストを抑えつつ安定的に確保できるかが、自動車業界の生き残り競争を左右するとみられる。

 トヨタ自動車は年内をめどに、兵庫県姫路市のリチウムイオン電池工場に年約8万台分の生産ラインを増設する。中国・大連市でも年40万台分のハイブリッド車(HV)用の電池を増産する。

 2020年4月にパナソニックと合弁で設立した新会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」が電池事業を手がける。トヨタは電動車の販売台数を30年に現在の約4倍の800万台に拡大し、このうち200万台をEVと燃料電池車(FCV)とする計画だ。達成のためには「電池の生産量が現在の30倍必要だ」(幹部)と見積もる。

 調査会社「富士経済」の試算では、EVの世界販売台数は35年に1969万台と、20年比で10倍以上になる見通し。これに対し、車載用電池の生産能力は数百万台にとどまるとみられ、需要の拡大に追いつかない傾向が今後は一段と強まる。

 リチウムイオン電池は、EV価格の3分の1を占める生産コストの高さも課題となる。自動車各社が世界市場でシェア(占有率)を拡大するには、生産能力を増強して1個あたりの電池単価を下げることが欠かせない。先行する世界最大手の米テスラは電池の生産コストを半減させ、年間2000万台のEVを製造できる体制を目指す。これまでは主にパナソニックから調達してきたが、自前で電池を生産する「内製化」によって低コスト化を図る。

 自動車各社から見れば、どの電池メーカーと組むかも帰すうを左右する。日産自動車は中国のエンビジョングループが8割、日産が2割を出資する「エンビジョンAESCグループ」で電池生産を手がける。茨城県に新設するEV向けの電池工場は24年度の稼働を見込み、中国や英国でも新工場の建設を計画・実行中だ。ホンダの三部敏宏社長は「電動化で収益が得られる構造を早く作れた会社が生き残れる」と話している。

 ◆ リチウムイオン電池 =正極にリチウムの化合物、負極に炭素を使った充電池。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が1985年に旭化成で原型を開発し、ソニーが世界で初めて商品化した。繰り返し利用できることから家電やEVなどに幅広く使われている。

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2138393 0 経済 2021/06/19 15:00:00 2021/06/19 15:00:00 2021/06/19 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210619-OYT1I50065-T.jpg?type=thumbnail

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