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宇治茶の老舗工場、見学者から「ペットボトルどう思う」と質問…これが「綾鷹」へと結びつく

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 新茶の仕入れや販売が一段落した2006年の夏前、「上林春松本店」(京都府宇治市)の工場見学に数人の男女がやってきた。年齢はまちまちで、一番上は60歳代くらい。同店代表の上林秀敏さん(54)は、いつも通り茶の製造工程を案内し、茶文化の歴史などについて説明した。

宇治茶の歴史や将来について語る上林さん(宇治市で)
宇治茶の歴史や将来について語る上林さん(宇治市で)

 「様々なメーカーからペットボトル入りのお茶が出されていますが、老舗としてどんな感想をお持ちですか」。途中、1人がそう質問してきた。同店は創業450年。近年では急須で茶を飲む人が減ったと感じていた。「『みどりちゃ』ってありますか」と店舗を訪れる若者もいた。質問に対しては「ペットボトル商品を体験して、関心を持つきっかけになるのなら大歓迎です」と答えた。

 約1か月後、日本コカ・コーラから茶飲料の開発協力を依頼された。一行が同社の関係者と知ったのはこの時で、本格的なペットボトル入り緑茶「綾鷹」へ結びつく。

 1980年代に缶入りの茶が売られ、90年代にペットボトルへ移行した。抹茶を使ったスイーツも出回り、茶舗とコンビニの共同開発も珍しくなくなった。茶葉の行き先は、急須から大きく広がっている。

抹茶を使ったスイーツなどが並ぶ「伊藤久右衛門JR宇治駅前店」(宇治市で)
抹茶を使ったスイーツなどが並ぶ「伊藤久右衛門JR宇治駅前店」(宇治市で)

 江戸後期創業の「伊藤久右衛門」(宇治市)は、2000年にインターネットでの販売を始めてスイーツにも力を入れるようになった。チョコレート菓子「キットカット」の宇治抹茶味にも携わり、注目を集めた。スイーツだけで約200品あり、売り上げの半分以上を占めるようになった。

 広報の平元絵李子さんは「リーフ(茶葉)だけにこだわるとお客の間口が広がらないし、お茶を飲む人も結局少なくなる。商品開発は、試行錯誤の連続でした」と語る。

 総務省の家計調査によると、1世帯あたりの年間支出金額は、茶葉(緑茶)が減少する一方でペットボトルなどの茶飲料は増加している。合計金額も増加傾向にあり、上林さんは「お茶の文化が衰退しているわけではなく、今は大きな変革期にあるのではないか」と推し量る。

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2144633 0 経済 2021/06/22 09:47:00 2021/06/22 10:21:38 2021/06/22 10:21:38 抹茶などを使ったスイーツなどが並ぶ「伊藤久右衛門JR宇治駅前店」(宇治市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210621-OYT1I50051-T.jpg?type=thumbnail

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