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「ベゾス後」アマゾン船出、CEO交代…クラウド育てた「影法師」ジャシー氏に注目

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新サービス創出が関門

5日に米アマゾンのCEOを退いたジェフ・ベゾス氏(ロイター)
5日に米アマゾンのCEOを退いたジェフ・ベゾス氏(ロイター)

 【ニューヨーク=小林泰明】米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムの最高経営責任者(CEO)が5日、創業者のジェフ・ベゾス氏(57)から、クラウド部門を率いたアンディ・ジャシー氏(53)に交代した。1994年の設立から27年でアマゾンは売上高約40兆円、従業員約130万人の巨大企業に成長した。カリスマ創業者の後継のかじ取りに注目が集まる。

クラウド稼ぎ頭に

ジャシー氏(ロイター)
ジャシー氏(ロイター)

 「アンディは私と同じくらい長く、アマゾンで働いている。全面的に信頼している」。5月に開かれたアマゾンの株主総会で、ベゾス氏は退任日を明らかにし、ジャシー氏を持ち上げた。

 ハーバード大でMBA(経営学修士号)を取得したジャシー氏は1997年、アマゾンに入社。一時期は常にベゾス氏と行動を共にする「影法師」と呼ばれる役割を担った。企業などのデータを管理するクラウド部門を率いて世界トップシェア(占有率)に育て上げ、現在はネット通販と並ぶ主要事業となっている。

 CEOを研究するエール大のジェフリー・ソネンフェルド教授は「ジャシー氏は謙虚さを持ち、ベゾス氏との信頼関係を築いてきた。クラウド部門を一から稼ぎ頭に育てた実績は大きく、経営でつまずくことはないだろう」と予測する。

「2代目」停滞も

 過去には、カリスマ創業者のCEO退任が経営の停滞につながった例がある。2000年、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏からスティーブ・バルマー氏がCEOを引き継いだ。トップ交代で技術革新よりも出世が重んじられる官僚化が進み、携帯分野でアップルやグーグルに大きな後れを取る結果を招いたとされる。

 ベゾス氏が経営の第一線から退くことで、大胆な発想に基づく新サービスが生まれなくなるとの懸念がある。ベゾス氏は採算を度外視し、無料配送を無制限で受けられる有料会員サービス「アマゾンプライム」を始めた。多くの社員を敵に回し、自社の通販サイトで第三者が販売できるようにする仕組みを作り、豊富な品ぞろえを実現した。

 ベゾス氏は5月の株主総会で「アマゾンはこれからも失敗するだろうが、大きなリスクをとり続ける」と自らの経営理念を語った。

 2月にベゾス氏の退任が発表された直後、アマゾン幹部は「(ベゾス氏は)重要な役割を維持する」と会長として経営に関与することを強調した。ジャシー氏にとっては、自ら主導して新たなサービスを生み出せるかが第一関門になる。

監視の目

 巨大IT企業に成長したアマゾンは、世界各国の政府から厳しい監視の目にさらされるようになった。

 反トラスト法(独占禁止法)問題をめぐっては、米当局や米議会からの追及が激しくなっている。ベゾス氏は昨夏、自ら出席した議会の公聴会で、議員からアマゾンの問題行為を厳しく問いただされた。今後はジャシー氏がそうした役割を引き受けることになる。

 米独禁当局の連邦取引委員会(FTC)委員長に6月、アマゾンの解体を唱えてきたリナ・カーン氏が就任し、政府によるアマゾン包囲網が敷かれつつある。

創業CEO FBのみに…GAFA

 ベゾス氏の退任により、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業4社のうち、創業者がCEOを務めるのは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏(37)だけになった。

 グーグルの親会社アルファベットは2019年、グーグルの創業者2人が首脳を退き、サンダー・ピチャイ氏がCEOを務める。アップルは11年、創業者でCEOだったスティーブ・ジョブズ氏からティム・クック氏(60)に交代した。ジョブズ氏は同年死去した。

 GAFAなどがIT企業として成熟しつつある一方、電気自動車(EV)大手テスラは世界的な脱炭素化の流れを追い風に成長し、イーロン・マスクCEO(50)は次代を担うカリスマ経営者として存在感を高めている。起業が盛んで独創性の高い製品やサービスを生み出す企業が相次いで誕生し、米経済のけん引役となっている。

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2185250 0 経済 2021/07/07 05:00:00 2021/07/07 07:06:45 2021/07/07 07:06:45 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYT1I50188-T.jpg?type=thumbnail

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