大谷翔平も学ぶ渋沢栄一「論語と算盤」…野球界に根付く教え

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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「渋沢栄一」。

 渋沢栄一の講演をまとめた代表作「論語と 算盤そろばん 」。新1万円札の顔に選ばれる以前から経済界ではバイブルとも言える存在だが、意外なことに球界にも愛読者がいる。道義に のっと った商売の必要性を説いた経営哲学は、走攻守にどう役立つのだろうか。

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「10代の若者が読むのか」と感心

 渋沢の生家から10キロ・メートルほどにある埼玉県立深谷商業高校は、1971年に春夏の甲子園に出場した野球の古豪。23人の部員は土日も含め毎日4~10時間の練習とともに、簿記や電卓計算、情報処理の資格取得に励む。21年(大正10年)に渋沢らの協力で創立され、「士魂商才」と「至誠」という渋沢直筆の 揮毫きごう を校訓として校内に掲げる。ともに「論語と算盤」の中で渋沢が説いた言葉だ。この夏の甲子園県大会は13日の2回戦で敗退したものの、大久保光武選手(17)は「渋沢で注目が集まりうれしい。勉強と部活を両立できた」と話す。

 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(27)も、渋沢に学ぶ一人。2013年に日本ハムに入団後、目標をつづるシートに「メジャーに行く」「160キロを投げる」とともに、「論語と算盤を読む」と書いた。渋沢の 玄孫やしゃご で、投資ファンド会長の健氏(60)はそれを目にする機会があり、「10代の若者が読むのか」と感心したという。

 道徳を説く論語と、もうけを意味する算盤は相矛盾した関係と見られがちだが、健氏によると「異質な二つを両立させ、新しい価値を生む」ことが渋沢の教えという。投手と打者の二刀流に米国でも挑む大谷選手は、野球界での体現者と言える。

 そのきっかけを作ったのが、日本ハムの栗山英樹監督(60)だ。試合の指揮やチームを運営する際に自らの指南書とし、新人選手に一冊ずつ手渡すのが恒例行事。「論語と算盤」をテーマに選手に講義も行う。

 セ・リーグでは、中日の根尾昂選手(21)が高校時代から愛読書にしている。医師の父から毎月、本が大阪桐蔭高校の寮に送られ、その中で気になった一冊が論語と算盤だった。

引退後も考えて

 では、経営哲学を説く「論語と算盤」が球界ではどう生かせるのだろうか。試合の際は走者を進塁させる送りバントや、大差がついた試合での敗戦処理の登板など、自らを犠牲にするプレーが求められる。私心を捨てて人のために尽くすという論語の精神は、まさに当てはまる。

 算盤については、引退後の将来設計を考えるうえで参考になるようだ。栗山監督は昨年春、動画投稿サイト「ユーチューブ」上に論語と算盤などを教えるコーナーを設け、こう訴える。「野球は論語と算盤の意識を持ってやることが重要だ」

渋沢は五輪に関心薄かった!?

 経済人としての活躍が目立つ渋沢は、スポーツの発展にも貢献した。柔道の名門道場「講道館」が1909年に財団法人になって以降、亡くなる31年まで監事を務めた。東大の講師時代の教え子だった嘉納治五郎から設立の支援を頼まれたことがきっかけとされる。渋沢は明治前期に来日した米国のユリシーズ・グラント元大統領を都内の自身の別宅に招き、嘉納が柔道の演武を披露したとの記録も残る。

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2210374 0 経済 2021/07/16 05:00:00 2021/07/16 08:41:12 2021/07/16 08:41:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210715-OYT1I50170-T.jpg?type=thumbnail

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