完了しました
川崎重工業と日立造船が10月、トンネルを掘り進める「シールドマシン」事業を統合する。再編はJFEエンジニアリングなど3社が事業統合した2016年以来で、国内勢は実質2社に集約される。国内需要が縮小する中、統合で東南アジアなど新興国市場の開拓を狙う。

川崎重工と日立造船は10月1日、折半出資で新会社「地中空間開発」を設立し、営業や設計部門を移す。本社は大阪、営業拠点は東京に置き、生産は引き続き両社が担う。新会社の売上高は単純合算で130億円超となる。
シールドマシンは、金属製のカッターを回転させて地中を掘り進める円筒形の大型機械。道路のトンネルや地下鉄、下水道の工事に使われ、インフラ(社会基盤)整備に欠かせない。
川崎重工は直径14~16メートルの超大口径が得意で、硬い岩盤を掘削する技術に強みを持つ。日立造船は直径3~6メートルの小口径から、10メートル以上の超大口径まで幅広くそろえている。
新会社の社長に就く川崎重工の平山真治氏は「互いの強みを融合してラインアップを拡充する。新興国を中心に受注を伸ばしたい」と意気込む。

シールドマシン事業の再編では、JFEエンジニアリングとIHI、三菱重工業が16年に事業を統合し、「JIMテクノロジー」が誕生した。売上高は国内首位の200億円程度とみられ、川崎重工と日立造船の新会社はJIMに次ぐ規模となる。今回の再編で、直径10メートル以上の大型マシンを手掛ける国内メーカーはこの2社のみとなる。
再編の背景には国内市場の縮小がある。数年は堅調だが、リニア中央新幹線の整備が進む25年以降、市場は縮小していく見通しという。海外では、新興国で地下鉄を中心にインフラ整備が加速しており、市場規模は拡大しそうだ。