「不可能」を疑え…陸上養殖サーモン、技術革新への道

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十河哲朗さん「FRDジャパン」取締役COO

 刺し身やすしネタとして人気のサーモンは世界的に需要が高まっており、安定供給が課題になっている。そこで、環境負荷の少ない陸上での養殖に取り組んでいるのが、さいたま市の水産ベンチャー企業「FRDジャパン」だ。取締役COO(最高執行責任者)の十河哲朗さん(36)は「次世代に豊かな食文化を引き継ぐには、僕らの世代が技術革新を起こす必要がある」と力を込める。(教育部 木田滋夫)

漁で使った縄がジャケットに変身…「地域アピールの機会にも」
陸上養殖したトラウトサーモンを手に、笑顔で抱負を語る十河哲朗さん=写真はいずれも奥西義和撮影
陸上養殖したトラウトサーモンを手に、笑顔で抱負を語る十河哲朗さん=写真はいずれも奥西義和撮影
    そごう・てつろう  1984年、大阪府生まれ。京都大農学部卒。少年時代の夢は魚類学者。FRDジャパンでは事業設計や販売を担当し、出荷先の店頭で顧客の声を聞くこともある。

水道水利用の「海水」でコスト削減

 東京湾から10キロほど内陸にある千葉県木更津市の丘陵地。FRDジャパンの木更津プラントでは、パイプが張り巡らされた建物内に水槽が一面に並び、その中でサーモンの群れが円を描いて泳いでいる。

陸上養殖したサーモンの刺し身
陸上養殖したサーモンの刺し身

 ここでは年間30トンのサーモンが育てられ、「おかそだち」のブランド名で、2年前から首都圏のスーパーなどに出荷されている。出荷時のサイズは体長60センチ、重さ3キロほど。「お客さんからは『臭みがない』『とても食べやすい』と好評です」と、十河さんは手応えを口にする。

 サーモンの陸上養殖は採算の面でハードルが高い。養殖に適した水温は約15度だが、天然の海水を引き込んで使うと、関東圏では夏場は30度前後まで上がり、冷やすのに多額の電気代がかかるからだ。同社はこれを、水道水にミネラルを加えた「人工海水」で解決した。水道は水温が比較的低いうえに、消費地の近くで生産することができ、物流コストも抑えられる。

 もう一つの特長は、独自の浄化装置を使い、水を交換せず循環させていることだ。「閉鎖循環式陸上養殖システム」という。従来行われてきた陸上養殖の手法では、水質維持のため1日に30%の水を交換する必要があった。「私たちの方式は管理コストを大きくカットでき、課題だった採算性は改善した」と胸を張る。

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