タイで「焼き芋」ブーム…訪日旅行できず、東南アで高まる日本産「渇望」

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オンライン商談 販路拡大

バンコクの大型商業施設で販売されている日本産のサツマイモ。タイでは焼き芋がブームとなっている(2日、タイ・バンコクで)=山村英隆撮影
バンコクの大型商業施設で販売されている日本産のサツマイモ。タイでは焼き芋がブームとなっている(2日、タイ・バンコクで)=山村英隆撮影

 【バンコク=山村英隆】日本からアジア圏への農産物や食品の輸出が好調だ。コロナ禍で訪日旅行ができないことで人気の日本産食品への需要が一段と高まり、今年の輸出額は過去最高を上回るペースで増えている。オンライン商談会で海外に販路を広げやすくなったことも追い風になっている。

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焼き芋人気

 タイではここ数年、日本式の焼き芋がブームだ。日本のサツマイモの甘さやねっとりとした食感が、タイの人たちの心を捉えた。バンコクにあるショッピングモールでは、「べにはるか」「シルクスイート」といった品種が並び、日本のスーパーなどと同じように焼き芋器が置かれた店も多い。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所などによると、日本からタイへのサツマイモの輸出額は2016年から20年にかけて約5倍に伸びた。焼き芋は「暖かい地域では売れない」との見方が強かったが、日本の大手量販店「ドン・キホーテ」の運営会社が米ハワイやシンガポールで販売してヒットし、東南アジアで一気に広まったとされる。

 東南アジアでは経済成長に伴い、購買力のある中間層が増えている。日本の農産物輸出に関わる「日本農業」の内田 叡良あきら さんは「日本産のサツマイモは現地でブランドとして浸透してきており、ほかの国で生産されるものよりも約3倍の価格でも売れている」という。

過去最高

 農林水産省によると、20年の農林水産物や食品の輸出額は過去最高の9217億円に達した。今年は1月から8月までで7300億円を超えており、過去最高を更新する可能性がある。

 カギを握るのが、中華圏や東南アジア各国だ。こうした国・地域ではコロナ禍前には訪日旅行が人気を集め、リピーターも多かった。渡航制限が長引いていることで、日本に対する「渇望感」が高まっている。

 コロナ禍前の19年に訪日客が多かった国・地域と、日本からの農産物の上位輸出先はおおむね重なっている。タイの小売り大手「ザ・モール・グループ」で食品部門の副責任者を務めるスパウット・チャイプラシットクン氏は「タイから日本に渡航できない状況なので、自宅で日本のものを楽しんでもらえる」と期待をかける。

通関代行

 ジェトロはコロナ禍でオンライン商談会に力を入れる。商品のサンプルを確認したいという現地の声に応え、日本からの通関手続きを代行したり、通訳を用意したりするなど、販路拡大を支援している。

 日本酒や焼酎などを輸出する「中和国際」(大分市)の先山武志氏は「かつてはバイヤーを日本側に呼んだり、こちらが現地に渡航したりする必要があった。オンライン商談会でコストや時間が節約できている」と語る。

 アジアでは、11年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、日本の農水産物の輸入停止措置を続けている国があるほか、加工食品に使われる添加物などの規制も国によって異なる。

 「アジア圏では日本産の農産物・食品へのニーズは今後も高まる」(日本総研の石川智久・マクロ経済研究センター所長)とみられ、輸入停止の解除に向けた各国政府との粘り強い交渉や、規制に合わせた商品開発など、地道な努力も求められる。

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2498422 0 経済 2021/11/06 05:00:00 2021/11/06 07:27:04 2021/11/06 07:27:04 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211105-OYT1I50178-T.jpg?type=thumbnail

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