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[スキャナー]日本企業の業績、コロナ禍から急回復…中間決算で最高益相次ぐ

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 日本企業の業績が回復している。コロナ禍で生じた新たなニーズに対応した企業を中心に、過去最高益が相次ぐ。もっとも、原油高に伴う原材料価格の上昇や、部品の調達難など先行きの霧は晴れない。(経済部 高市由希帆、畑仁優鋭)

東証1部の7割増益

前年は「直撃」

緊急事態宣言の解除に伴い、企業担当者が東京証券取引所で決算資料を投函(とうかん)する「風物詩」も戻りつつある(東京都中央区で)
緊急事態宣言の解除に伴い、企業担当者が東京証券取引所で決算資料を投函(とうかん)する「風物詩」も戻りつつある(東京都中央区で)

 5日までに2021年9月中間決算を発表した東証1部上場の748社(金融を除く全体の56・2%)を対象に、SMBC日興証券が業績を集計したところ、7割強の546社で最終利益が増益となった。国内外で経済活動が再開していることが要因だ。

 最終利益の総額は、前年同期比で2・6倍と急増した。前年は新型コロナウイルスの感染拡大が直撃して落ち込んでおり、反動の側面がある。一方で、厳しい環境でも稼ぐ力を高めた企業の好調ぶりが目立つ。

 「多様な事業が回復力を高め、新たな事業の拡大につながっている」。ソニーグループの十時裕樹副社長は、2021年9月中間決算をこう表現した。最終利益は税制上の損失で減益だったものの、売上高と本業のもうけを示す営業利益は過去最高だった。ゲーム機販売などコロナ禍の「巣ごもり需要」をつかんだ。

 製造業ではほかに、トヨタ自動車や富士フイルムホールディングスなどが中間期としては、最高益を記録した。円安の進展で円換算した海外収益が膨らんだほか、経済活動を再開した米欧での販売が順調だった。

 非製造業でも業績が回復している。伊藤忠商事や三菱商事など商社大手5社と、海運大手3社がそろって業績を大きく伸ばした。

 三菱商事は、主力とする原料炭が価格上昇の恩恵を受け、さらに化学品、食品などの事業が利益をあげた。増一行常務は決算記者会見で「各分野の需要を着実に取り込んだ」と述べた。

 商船三井の三谷亮司・執行役員は「コロナ禍で落ち込んだ自動車輸送台数が回復している」と説明する。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾上席研究員は「海外での経済回復にうまく対応した企業が、コロナ禍で失った利益を取り戻した」と指摘する。

道半ば

 もっとも、回復の足取りが鈍い業種も、なおある。

 ANAホールディングスや日本航空、JR東日本は通期予想でも2期連続の最終赤字を見込む。東京地下鉄(東京メトロ)の山村明義社長は「感染症拡大が続き当初見込みより厳しい結果になった」と、今年4~9月を振り返る。

 SMBC日興証券によると、2021年9月中間決算では、自動車を含む「輸送用機器」で5社が、「電気機器」で8社が、それぞれ赤字だった。輸出や海外生産の多い大手は好業績に沸くが、関連部品メーカーの中には、感染が深刻化した東南アジアからの部品調達などに苦しむ企業もあるようだ。

先行き

 先行きの不透明感も根強い。主要産油国が追加の増産を見送ったことで、原油価格の高騰が続いており、中国経済の不安定化など懸念がくすぶっている。

 ワクチン接種の拡大で緊急事態宣言が解除され、首都圏でも10月下旬以降、経済活動が本格的に再開しているが、残りの半年の回復ペースを楽観する向きは少ない。

 足元で進む円安は、輸出企業にとっては追い風だが、輸入品の価格を一段と押し上げる。輸入物価の動向を示す指数は比較できる1981年以来最大の伸びを示しており、メーカーからは「危機的な状況」(化学大手)といった声があがる。

 SMBC日興証券の安田光・株式ストラテジストは「価格転嫁やコスト削減をできるかどうかが今後のカギだ」と指摘する。

脱炭素・デジタル化 待ったなし

 企業は、脱炭素やデジタル化といった中長期の課題にも直面している。対応が遅れれば競争力の低下につながりかねず、事業の多様化や転換が不可欠だ。

 「(脱炭素のために設けられる)新たな基準は、事業拡大のチャンスだ。技術陣に発破をかけている」。エアコン大手のダイキン工業の十河政則社長は4日の決算記者会見で、こう意気込んだ。環境対策に熱心かどうかは、企業が取引先を選ぶうえでの重要な判断基準になりつつある。欧米の企業では、CO2(二酸化炭素)の排出削減が不十分な取引先を排除する動きもある。企業からは「研究開発に全力で取り組む」(日本製鉄の森高弘副社長)との声が上がる。

 デジタル対応も欠かせない。高速・大容量の通信規格「5G」の関連では、基地局に使う機器などの製造で後手に回り、半導体製造でも海外勢に大きく見劣りする。

 大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「脱炭素とデジタル分野では、官民で協力してすぐにでも対応しなければ世界的な競争に勝っていけない」と指摘する。(経済部 向山拓)

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2505314 0 経済 2021/11/09 05:00:00 2021/11/12 21:23:56 2021/11/12 21:23:56 緊急事態宣言の解除に伴い、企業担当者が東京証券取引所で報道向けに決算資料を投函する「風物詩」も戻りつつある(東京都中央区で)=秋田穣撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211108-OYT1I50170-T.jpg?type=thumbnail

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