賞味期限が近いほど安く…食品ロス削減へ、売り場で実証実験 

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 まだ食べられるのに廃棄される食品ロスの削減に向け、同じ商品でも賞味期限が近いほど安くする「ダイナミックプライシング」の実証実験が東京都内で始まった。日本総合研究所やイトーヨーカ堂を中心に2月末まで実施する。効果の検証を通じて販売現場や消費者の意識改革につなげる。

 「イトーヨーカドー曳舟店」(東京都墨田区)の洋菓子売り場では、同じ商品が「A」「B」「C」と記されたラベルで分類されている。陳列棚にある「電子棚札」の画面は、記号ごとに三つの価格を表示する。

 賞味期限を価格に反映させるための工夫だ。残り日数でラベルごとの価格を変え、例えば、賞味期限が翌日に迫れば定価の2割引き、2日後は1割引きに設定する。来店客は電子棚札で値段を見て、商品を選ぶ。

 総菜など日持ちしにくい食品の値下げは、夕方のスーパーでおなじみの光景となっている。今回の実験は、洋菓子や豆腐といった数日先が期限の16種類を対象にした。デジタル化で商品ごとに値段を一括管理できるため、値札の貼り替えが不要になることを含め、値引きが効率的にできる。

 時間帯や混雑具合などに応じて価格を変えることを「ダイナミックプライシング」と呼ぶ。柔軟な価格設定で収益の向上や在庫管理の効率化を図る。欧米では近年、デジタル技術による需要予測で値引きする仕組みが導入されている。

 日本総研などは、期限までの時間に応じて値段を細かく変える手法が、国内のロス削減に有効とみる。スーパーやコンビニエンスストアは、期限が近い商品を手前に陳列することが多い。それを知る客が棚の奥から取り出して購入し、手前が期限切れで廃棄されるという課題が生じる。同じ商品でも安くなれば、売り切りにつながる可能性が高まる。

 ただ、国内の大手はダイナミックプライシングをほとんど導入していない。電子棚札は購入が1台あたり数千円かかり、維持費も必要だからだ。多くの店舗を抱える大手にとってコスト負担は看過できず、ロスだけでなく収益への貢献を見極めている段階にある。流通アナリストの渡辺広明氏は「普及には機器をいかに安価に導入できるかが重要になる」と指摘する。

廃棄 年570万トン

 農林水産省の推計によると、2019年度の食品ロスは前年度に比べて5%減ったものの、570万トンに上った。全国民が毎日、茶わん1杯分の食料を捨てている計算だ。

 世界的に貧困が問題になる中、食料の有効活用が不十分であると対外的に示しかねない。廃棄に伴う環境負荷の増加も懸念される。

 家庭で発生するロスへの対応も重要な課題となる。今回の実験は、男女約100人を対象に、家庭内での使い切りを促す試みを実施している。バランスの良い食事を提案する「食事管理アプリ」に、食材の購入履歴や自宅に残る「在庫」のデータを連携させ、献立作りに活用してもらう。

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2696203 0 経済 2022/01/23 05:00:00 2022/01/23 13:53:12 2022/01/23 13:53:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220122-OYT1I50166-T.jpg?type=thumbnail

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