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3日の節分を前に、恵方巻き商戦が終盤を迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要を見込んだ豪華なものから、ロールケーキやインド料理と種類が多様化した。とびきりの一本に静かにかぶりつき、コロナ禍を吹き飛ばしたい。(山口千尋)

恵方巻きは縁を切らないよう包丁で切らず、恵方(今年は北北西)を向いて、福を逃さないよう無言で食べるのがよいとされている。

高級回転ずし「金沢まいもん寿司」を展開する「エムアンドケイ」(金沢市)は、大トロやノドグロ、穴子、イクラなど7種類の具材を巻いた恵方巻きに

金箔は扱いが難しいため、節分当日は、金箔メーカーの老舗「金銀箔工芸さくだ」の金箔職人が仕上げの金箔を巻くという。エムアンドケイの担当者は「新型コロナの感染者が急増して大変な今だからこそ、豪華な恵方巻きを食べて華やかで楽しい気持ちになってほしい」と話していた。
恵方巻きに見立てたロールケーキも人気だ。金沢市などに店舗を構える洋菓子店「洋菓子工房ぶどうの木」は、竹炭を練り込んだ黒色のスポンジ生地で生クリームとイチゴやキウイなどの果物を巻いた「恵方巻ロール」(同1296円)を期間限定で販売している。発売から今年で10年になるといい、「普通の恵方巻きに飽きた方や甘い物が好きな方に支持され、節分の定番商品になっている」という。
恵方巻き商戦に外国料理も名乗りを上げた。金沢市の老舗インド料理店「ルビーナ」は、タンドリーチキンとパプリカなどの野菜をローティ(インドのパン)で巻いた「恵方巻カティロール」(同970円)を用意した。同店は、「今年の節分はいつもと違うスパイシーな恵方巻きで新型コロナを吹き飛ばして」としている。
フードロス減へ、AIで客数予測も
恵方巻きが浸透する一方で、ここ数年は、売れ残りが大量に廃棄されるフードロスが問題視されており、県内のスーパーは予約販売に力を入れている。
総合スーパー「イオン」を展開するイオンリテールでは、昨年12月から予約の受け付けを始め、早めに注文した恵方巻きを5%引きとした。予約数は年々伸びており、今年は予約注文の売り上げ目標を前年の3割増しとしている。
同社は、節分当日の売れ残りをなくすため、今年から「AI客数予測システム」を導入した。過去の売り上げなどのデータから、店舗ごとに用意する恵方巻きの数量を割り出す。同社の広報担当者は「引き続きフードロスの削減に取り組みたい」と話した。