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炊飯と保温の機能を兼ね備えた「ジャー炊飯器」の登場から今年で50年。進化は今も止まらず、メーカー各社は内釜や炊き方に工夫を凝らし、開発にしのぎを削る。コロナ禍で自宅の食事にこだわる人が増える中、10万円を超えるような高機能品が売れ筋となっている。
国産初の自動式電気釜は東芝が1955年に発売した。当時は電気釜で炊いたコメを別の保温ジャーに移していた。電気釜と保温ジャーを一体化したジャー炊飯器の登場は72年。三菱電機が発売すると、移しかえの手間を省いてくれる画期的な商品として人気を集めた。
以後、保温機能は炊飯器の「常識」となり、開発はさらに進んだ。マイコンで火加減を調整するものから、現在は釜自体が高温で発熱するIH(電磁誘導加熱)方式に主流が移っている。
日本電機工業会(JEMA)によると、ジャー炊飯器の2021年度国内出荷台数は前年度比約10%減の499万台。コメ離れの影響で減少傾向にあるが、出荷額(985億円)は約7%減にとどまった。高機能品が単価を押し上げているとみられる。
メーカーも消費者の志向を見逃さない。三菱電機が発売を予定するのは、ジャー炊飯器の誕生50年を記念した「本炭釜
パナソニックが発売中の「おどり炊き SR―VSX1」(想定価格11万5000円)はスマートフォンのアプリと連携させると、その年のコメの出来栄えに応じて炊き方を更新できる。例えば、冷害や日照不足でぱさつきやすくなりそうな年は、火力を下げるなどして、粘りを引き出すという。
東京都内のビックカメラ池袋本店の売り場には、高機能炊飯器がずらりと並ぶ。担当者は「ご飯にこだわる人が増え、購入単価が上がっている。おいしいご飯を一度味わうと、価格帯を下げなくなるようだ」と話す。