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ノリが深刻な不作に陥っている。2021年度(昨年11月~今月15日)の生産枚数はピーク時(2001年度)より約4割少なかった。地球温暖化などが影響しており、今後も続く恐れがある。生産量だけでなく、国内消費も落ち込んでおり、生産者らを悩ませている。(清水生、井上勇人)
戦い
江戸前ノリの産地・千葉県富津市の東京湾に異変が起きたのは7年前の冬。長年、養殖を手がける小泉敏さん(67)が網を上げると、育っていたノリが、バリカンで刈ったように根元からなくなっていた。

原因はクロダイ。収穫最盛期の冬場は海水温が低くなり、動きが鈍って食欲も低下するが、この頃から、群れで泳ぎ回り、ノリを食べるようになった。
網を別のネットで覆ったが、隙間からの侵入を完全に防ぐのは難しい。新富津漁協の生産量は20年度、食害が始まる前の4分の1に激減した。21年度はやや回復したが、「近年はクロダイとの戦いです」と小泉さんがため息をついた。
食害の背景には、地球温暖化があるとみられている。実際、東京湾中心部の1月の海水温は、15年までの60年間で約3度上昇している。
県水産総合研究センターの石井光廣さん(59)は「冬場は海水温が比較的高い湾口に多かったクロダイが、ノリ養殖場のある湾の奥まで活動範囲を広げている。個体数も増えた可能性が高い」と指摘する。