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用地収用に反発も
インドで、日本の技術を導入した初の高速鉄道の建設が進んでいる。中国に対抗してインフラの海外輸出に力を入れる日本にとって、インドは「有望市場」だ。ただ、用地収用に対する市民の反発は強く、完成の遅れを指摘する声が出ている。(インド西部スーラト 山村英隆、写真も)
首相肝いり

高速鉄道は、マハラシュトラ州の商都ムンバイとグジャラート州の工業都市アーメダバードの508キロ・メートルを結ぶ。2015年の日印首脳会談で新幹線方式導入が決定し、設立された高速鉄道公社が17年に着工、23年中の開業を目指してきた。完成すれば、在来線で約6時間かかった両都市間の移動が約2時間に短縮される。グジャラート州はナレンドラ・モディ首相の出身地で首相肝いりの巨大国家プロジェクトでもある。
同州スーラト郊外の建設現場で働くアミット・クマール・シンさん(39)は「インドの発展につながる仕事を誇りに思う」と言う。家具会社を営むディガント・シャーさん(72)は「社員は年50~60回出張するので、完成すれば仕事がはかどる」と期待を寄せる。
研修所完成
プロジェクトの特徴の一つは、日本式の鉄道運営ノウハウを取り入れた点だ。

スーラトの約130キロ・メートル北の町バドダラには、運転や保守点検に携わる人材を育成する研修所が完成している。日本の新幹線車両を模したシミュレーターの運転台などが設置され、保守管理要員ら約3500人を教育するという。公社担当者は「地震の際に自動ブレーキがかかるなど日本の最先端の技術は学ぶ価値がある」と話す。
日本の高速鉄道建設は、低価格を売りとする中国との厳しい競争にさらされ、世界で苦戦を強いられてきた。15年には、日本の受注が有力視されていたインドネシアの高速鉄道計画が土壇場で中国に受注された。こうした中、インドは日本が今後も受注を期待できる国の一つだ。
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