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「睡眠市場」が急拡大している。コロナ禍に伴う在宅勤務で生活リズムが乱れたり、先々の不安を抱えたりして「なかなか寝付けない」と悩む人が増え、睡眠の質を高める効果をうたう飲食料品への人気が高まっている。IT技術を駆使した「スリープテック」と呼ばれるサービスも広がっている。
SNSで話題

「ずっと売り切れ。どこで買えるの」「街でヤクルトレディをみかけてつい声をかけた」――。
乳酸菌飲料「ヤクルト1000」を巡り、SNS上では効果や販売場所の投稿が目立つ。乳酸菌「シロタ株」を多く含むことで、ストレスを低減し、睡眠の質を高めるという。主に宅配用だったが、昨年10月からはコンビニなどの店頭で「Y1000」の販売を始めた。品薄状態が続いており、7月から段階的に増産する予定だ。
カルビーは3月、睡眠サポート食品「にゅ~みん」を発売した。睡眠効果を上げるとされる植物由来の色素成分が入ったフィルムで、口の中で数秒で溶ける。開発担当者は「市場調査では睡眠に悩む人が多かった。気軽に試しやすい『食』の面から、役立てる商品を提供したかった」と話す。
これらは機能性表示食品で、消費者庁に科学的根拠を届け出て受理されると、パッケージに効果を記載できる。調査会社の富士経済によると、「ストレス緩和・睡眠サポート」の飲食料品市場は、調査を始めた2013年の11億円から20年には約15倍の161億円に増えた。22年には331億円に拡大すると見込んでいる。
宿泊ついでに

カプセルホテルを運営するナインアワーズは昨年12月から、カプセル内の赤外線カメラや体動センサーのマットレスで睡眠状態を測るサービスを一部店舗で始めた。心拍数やいびき、無呼吸になった時間などのデータを提供する。宿泊料以外の追加料金を払わずに利用できる。1日に約200人の睡眠データを取れることから、飲食料品メーカーなどから商品開発の協力要請が相次いでいるという。
松井隆浩代表取締役は「医療機関での睡眠検査はハードルが高いが、ここでは宿泊ついでに自分の睡眠状態を知ることができる。睡眠のビッグデータ機関として、人々の健康作りにも関わっていきたい」と意気込む。
「質に不満」

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(19年)によると、「睡眠全体の質に満足できなかった」ことが週に3回以上ある人は、20~59歳の男女では約3割に上った。コロナ禍の影響で、睡眠を巡って悩む人は一段と増えている可能性がある。
今年3月には、睡眠をサポートする商品やサービスの品質基準作りなどを目的とした団体が設立された。老舗寝具メーカーの西川や筑波大、伊藤忠商事、日本生命保険、アシックスなどが参加する。西川の野々村琢人・日本睡眠科学研究所長は「睡眠市場の活性化は歓迎すべきことだが、世の中の商品やサービスは玉石混交。業界の垣根を越えて品質基準作りなどに取り組むことで、社会全体のより良い睡眠に貢献したい」と話している。























