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岩手県内の沿岸でサケ・マス類の海面養殖が拡大している。主力魚種の秋サケの記録的な不漁を背景に、安定した水揚げを確保し、ブランド化を目指す。こうした「ご当地サーモン」は全国100か所以上に広がっており、独自の魅力を打ち出せるかがカギを握る。

「つくり育てる漁業を進め、浜の活性化につなげたい」。宮古湾で養殖されているトラウトサーモン(ニジマス)が今年初めて水揚げされた4月末、宮古漁協の大井誠治組合長(87)は抱負を述べた。
養殖サーモンは脂が乗り、刺し身などで味わえるのが特徴だ。3年目の水揚げとなる今年は、昨年の1・4倍の127トンを目標にする。宮古市も、いけすに移す前の稚魚を育てる施設を整備して増産を後押しする。
三陸沖は「世界三大漁場」と呼ばれてきた。しかし、沿岸の秋サケ漁獲量は深刻な不漁が続き、昨年度は273トン(速報値)まで落ち込んだ。ピーク時の6万9734トン(1996年度)のわずか0・4%と過去最低を更新した。
こうした現状の打開策が養殖への参入だ。2019年に久慈市で養殖が始まり、宮古市、山田町、大槌町、釜石市に拡大。今年度は約1200トンの水揚げを見込み、天然物を大きく上回る勢いだ。ただ県内では、02年までギンザケが養殖されていたが、輸入サーモンに押されて撤退した過去がある。一方、宮城県はギンザケ養殖を続け、全国の9割を占めるまで成長し、大きく水をあけられた。
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