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ダイハツ工業の車両の衝突試験を巡る不正は、国内外の全車種の出荷停止に追い込まれる異例の事態に発展した。短期間での開発を追求する経営方針で生じた現場のひずみが浮かび上がった格好だ。出荷停止は長期化する恐れもあり、業績の打撃となることは避けられない。
プレッシャー
「経営陣らが現場の負担を把握せず、困った時に声を上げられない職場環境を放置してきた」。奥平総一郎社長は20日の記者会見で経営陣の責任を認めた。

第三者委員会の報告書は不正の背景として、過度に短い開発日程が設定され、変更もきかず担当者にプレッシャーがかかっていたことを挙げた。
一連の不正が始まったのは1989年だが、2014年以降に急増した。背景にあるとされたのが、11年に販売した軽乗用車「ミライース」の開発期間を大幅に短縮できた成功体験だ。短期開発が最優先されるようになり、日程は「線表」と呼ばれて経営トップの「英断」がなければ変更困難なほど社内で絶対視されていたという。
販売計画も各工程が問題なく進むことを前提に立てられ、最後の工程の認証試験は「合格して当たり前」という考えが定着した。コスト削減の中で利用できる試験車両の数に制限もあり、試験の担当者は「不合格は許されない」との重圧にさらされ、不正に手を染めることになったという。
第三者委、組織性を否定
こうした対応は現場の担当者に一任され、不正に関わっていたのは主に係長級までの社員で、漫然と繰り返されていた。管理職が適切に確認する体制も取られておらず、経営幹部も不正の発生を想定せず対策を講じていなかった。

第三者委は不正の組織性を否定し、現場の担当者については「やむにやまれぬ状況に追い込まれていた。強く非難することはできない」と擁護した。
第三者委の
取引先や顧客への補償
ダイハツの経営への影響は避けられない。既に主力の小型スポーツ用多目的車(SUV)「ロッキー」のハイブリッド車(HV)などの生産、受注を取りやめているが、出荷停止は親会社のトヨタ自動車だけでなく、マツダやSUBARU(スバル)へのOEM(相手先ブランドによる生産)も含む全ての車種が対象となる。取引先や顧客への補償の問題も生じる。奥平社長は業績への影響について「どれだけインパクトのある話かわからない」と述べた。
ダイハツは国内の軽自動車市場で33・4%のシェア(占有率、22年度)を握る。新生活が始まり、軽自動車の需要が高まる春に間に合うように購入を検討する消費者も多い。ダイハツ系列の販売店は、車検などのサービス対応は続ける方針だが、新車の販売停止が長引けば、消費者への影響も大きくなりそうだ。


























