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    日中首脳会談 「互恵」構築へ対話を重ねたい

     歴史的な節目を捉え、日中関係改善の流れを確かなものにすることが重要である。「互恵」に資する包括的な協力の促進が求められる。

     安倍首相が訪問先のロシア・ウラジオストクで、中国の習近平国家主席と会談した。

     首相は日中関係について「協力の地平線は広がりつつある」と強調し、習氏も「正常な軌道に入り、発展改善するチャンスに恵まれている」と語った。

     両氏は、来月の首相訪中に向け、最終調整することで一致した。平和友好条約発効40周年に合わせたものだ。首相は、習氏の来日を改めて招請した。首脳往来を定例化し、個人的な信頼関係を深めることが欠かせない。

     安倍、習両氏の会談は昨年11月以来で7回目となる。2012年の尖閣諸島の国有化を機に冷え込んでいた日中関係は、改善基調にあると言えよう。

     中国が対日関係の修復に動いた背景には、通商政策での米国との対立激化があるのだろう。

     習氏は会談で「自由貿易や開放的な経済が重要だ」と指摘した。首相は、中国と緊密な意思疎通を図る考えを示した。

     日本は、米国の保護主義的な政策は批判しつつ、中国による不公正な貿易慣行や知的財産権の侵害の是正を求めていくべきだ。

     習氏は会談で、巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、日本との経済協力に期待感を示した。

     中国の構想について、軍事拠点化が目的ではないかとの懸念が示されており、相手国の過剰債務問題も表面化している。

     日本は、事業の透明性や効率性を見極める必要がある。

     北朝鮮の非核化について、両首脳は引き続き連携して、対処する方針を確認した。首相は、国連安全保障理事会の制裁決議を履行する重要性を指摘した。

     中朝国境では、経済取引が再開している。北朝鮮に対する国際包囲網が緩めば、非核化を迫るシナリオに狂いが生じかねない。制裁を維持するよう、中国に粘り強く働きかけることが大切だ。

     首脳会談は、「海洋強国」を目指す中国に対し、日本の懸念を伝える重要な機会でもある。

     尖閣諸島周辺で、中国は公船の領海侵入を常態化させている。首相は習氏に対し、「東シナ海の安定なくして、日中関係の真の改善はない」と強調した。

     首脳同士が対話を重ね、信頼醸成を図ることで、中国側に挑発的行動を自制させねばならない。

    2018年09月13日 06時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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