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    待機児童減少 「ゼロ」の目標達成を着実に

     保育の受け皿不足の解消は、少子化を克服する上で欠かせない。子育て世代に安心をもたらす対策を着実に推進しなければならない。

     希望しても保育所に入れない待機児童が、4年ぶりに減少した。厚生労働省による今年4月時点の集計では1万9895人で、前年より6186人少ない。2万人を切ったのは10年ぶりだ。

     保育所などの定員は、前年より11万人近く拡大した。うち約4万人分は、企業が国の補助を受けて設置する「企業主導型」施設だ。自治体や企業が取り組みを加速させていることは、評価できる。

     政府は、2020年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げる。今回減少したとはいえ、なお多くの待機児童が残る。自宅周辺の施設のみ希望した場合など、集計から除外された「隠れ待機児童」も含めれば、8万人を超える。

     子育て世代の女性の就業率は上昇している。保育ニーズのさらなる増加は確実だ。政府は20年度末までに32万人分の受け皿を追加整備することを打ち出している。可能な限り早期に実現させたい。

     自治体などの計画では、29万人分は確保される予定だ。待機児童は解消される見通しだというが、楽観はできまい。これまでも、自治体の予測の甘さが問題解決を遅らせてきた面がある。その二の舞いは避けねばならない。

     19年10月に導入される幼児教育・保育無償化の影響も気がかりだ。無償になれば、今は保育サービスを利用していない家庭の潜在的な需要を掘り起こす可能性が高いと指摘されている。

     実際、2年前に保育無償化を独自に始めた兵庫県明石市では、利用申し込みが急増し、今回、待機児童数が全国最多になった。

     子育て世代の希望を的確に把握し、計画に反映できているか。自治体は不断に検証し、状況に応じて柔軟に見直すことが重要だ。

     施設整備を進める上で、大きな課題は保育士の確保である。人材難で定員縮小や開園延期を強いられる事例もある。賃金アップや職員配置の見直しなど一層の処遇改善を急ぐ必要がある。保育の質向上のためにも不可欠な措置だ。

     都市部では、用地不足や住民の反対で、保育所の新設が困難になっている。園庭などが整った幼稚園の活用は有効な対策だろう。

     預かり保育や低年齢児の受け入れを促し、保育の機能を併せ持った「認定こども園」への移行につなげたい。政府も財政面でしっかり後押しすべきだ。

    2018年09月14日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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