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    沖縄知事選告示 豊かな県へ将来像を競い合え

     沖縄県の将来像をどう描いていくか。各候補者は、現実的な政策に基づいて、実りある論戦を展開すべきである。

     翁長雄志氏の死去に伴う沖縄県知事選が告示された。自民、公明など4党の推薦を受けた佐喜真淳・前宜野湾市長と、野党が推す玉城デニー・前衆院議員の事実上の一騎打ちの構図だ。30日に投開票される。

     翁長氏は4年前の知事選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に反対する方針を掲げて当選し、これを県政運営の柱に据えた。国と全面的に対決し、訴訟を繰り返した。

     玉城氏は、移設計画に反対する団体などでつくる「オール沖縄」の支援を受ける。翁長県政の継承を掲げ、第一声では「翁長氏の遺志を引き継ぎ、辺野古に新基地は造らせない」と述べた。

     これに対し佐喜真氏は「対立や分断からは何も生まれない。政治は交渉だ」と語った。妥協点を模索し、国との対立に終止符を打つという主張だ。移設計画の是非には言及しなかった。

     沖縄では今年、名護、石垣、沖縄の3市長選で与党などが支援した候補が野党系を破った。自民党は知事選でも勝利し、移設計画を着実に推進することを狙う。

     普天間飛行場は、米海兵隊の活動を支える重要な拠点だが、市街地に囲まれているため、事故のリスクも抱える。抑止力を維持しつつ、住民に被害が及ぶ危険性を低減するには、辺野古移設が唯一、具体的な案だ。

     1996年の普天間返還の日米合意以来、移設計画の是非は、何度も知事選で問われてきた。

     米軍基地の再編や縮小は、国が安全保障政策の一環として県民の理解を得ながら丁寧に進めなければならない。だが、移設の賛否を最大の争点とする選挙戦が繰り返されることに、違和感を抱く県民も少なくないだろう。

     県は先月、翁長氏の考えに基づき、辺野古の埋め立て承認を撤回した。政府は対抗措置を見送っている。知事選を無用に混乱させないとの判断は理解できる。

     沖縄県には、日本にある米軍基地の7割以上が集中する。負担軽減を進めるとともに、幅広い観点から沖縄を豊かにする施策を冷静に議論しなければならない。

     沖縄県の1人あたりの県民所得は、全国最低である。非正規雇用の割合も高い。インフラ整備や産業振興などを総合的に進めて経済を活性化させ、県民生活の向上を図ることが大切だ。

    2018年09月14日 06時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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