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    米朝実務者協議 非核化の決断を迫る枠組みに

     停滞する非核化を前に動かすための実務者協議を目指す必要がある。2度目の米朝首脳会談の成功には、事前の十分な準備が欠かせない。

     ポンペオ米国務長官が平壌で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談し、実務者協議を加速することで合意した。ビーガン北朝鮮担当特別代表と崔善姫外務次官が交渉団を率いるという。

     ポンペオ氏は、「米朝両首脳は次の会談で、実質的な真の進展を成し遂げると考えている」と強調した。6月の初会談が「朝鮮半島の完全な非核化」の合意にとどまり、具体的な成果がなかったことを念頭に置いているのだろう。

     金委員長はポンペオ氏に、核実験場とミサイルエンジン実験場の廃棄を巡り、査察団を受け入れる考えを表明した。不要になった施設の解体と検証を「カード」にし、米国から体制保証などの譲歩を引き出す戦術の一環ではないか。

     北朝鮮は、米国の「相応の措置」を条件に寧辺の核施設を廃棄する用意を示しているが、他に秘密のウラン濃縮施設があると指摘されている。完全な非核化の実現には、全ての核関連施設を申告し、検証に応じることが不可欠だ。

     問題は、北朝鮮が依然として、保有済みの核兵器や弾道ミサイルを放棄する意思を示さず、核ミサイルを開発・生産・配備する態勢を維持していることである。

     北朝鮮の核戦力と核開発能力の削減を導く合意を首脳間で達成する。米国は実務者協議を通じて、その重要性を説き続け、金委員長に決断を迫らねばならない。

     北朝鮮と中国、ロシアの連携強化の動きには注意が必要だ。

     中国の習近平国家主席の訪朝や金委員長の訪露の準備が進められている。いずれも、実現すれば初めてだ。中露を後ろ盾に、北朝鮮が米国に対する立場を強めようとしているのは間違いない。

     国連安全保障理事会では、中露両国が北朝鮮制裁を緩和すべきだと主張している。

     制裁は、北朝鮮に非核化の措置を促す重要な道具だ。核・ミサイルの脅威削減で進展があるまで、圧力を緩めてはならない。

     ポンペオ氏は金委員長に日本人拉致問題を提起した。北朝鮮が国際社会との関係を抜本的に改善するため、拉致問題などに取り組まねばならないことを「金委員長も十分に理解している」という。

     日本は、「拉致・核・ミサイル」の包括的解決に向けて、北朝鮮の態度を見極めながら、突破口を探ることが求められる。

    2018年10月10日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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