文字サイズ

    豊洲市場開設 築地ブランドをどう受け継ぐ

     築地から豊洲へ、世界最大級の水産物市場をどう受け継ぐか。

     東京都の豊洲市場がきょう開場する。敷地面積は、老朽化した築地市場の1・7倍の約40ヘクタールになる。日本の台所としてだけでなく、多角的な活用に知恵を絞りたい。

     外気を遮断した閉鎖型施設で、適温管理や衛生管理が容易になる。築地では難しかった食品衛生管理の国際基準の認証を、業者が取得する道も開かれる。豊洲の信頼性の向上に役立つだろう。

     荷さばきエリアが卸売場に直結された。築地にはなかった加工パッケージ棟では加工、小分け、包装が可能になり、生鮮食料品の商品価値を高めて出荷できる。

     外国人観光客を呼び込む東京の新名所にもなり得る。ガラス張りの見学コースが整備された。スマートフォンをかざせば、外国語の解説も読める。市場内には多数の飲食店が設けられている。

     開場までには曲折を辿たどった。石原慎太郎知事の時代に正式決定してから17年を要した。

     土壌汚染対策の不手際から、追加工事や補償金などに、この2年間だけで160億円以上が投じられた。都の責任は免れない。

     土壌や地下水の汚染については、専門家が安全を確認した。不安払拭ふっしょくのため、都と業者は連携して安全を確保する体制を整えてほしい。信頼醸成には、情報の速やかな公開が不可欠である。

     卸売市場を取り巻く環境は厳しい。水産物の消費量は減り、流通方式の変容で市場取扱量も落ち込んだ。築地の水産物の取扱量と仲卸業者数は、平成初期から半減した。530の仲卸業者の一部は、移転を機に廃業する。

     豊洲の運営経費は築地の4倍に上る。試算では年92億円の赤字になる。数億円の黒字を出していた築地からの落差は大きい。都の市場会計は、一般会計からの繰り入れに過度に依存せずに維持してきたが、状況は大きく変わる。

     どう収益を確保していくかが課題だ。市場の主な収入である卸売手数料の見直しや経営効率化への大胆な取り組みが求められる。海外への販路拡大も検討したい。

     赤字を埋めるためには、築地跡地の活用もカギになる。

     小池百合子知事は「食のテーマパーク」構想を掲げた。豊洲の集客施設との相乗効果を図る「二兎を追う」方針は混乱を招いた。あおりで、豊洲の集客施設の開業は2023年にずれ込む。

     活気ある空間を創出するため、都は明確な道筋を示すべきだ。

    2018年10月11日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP