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    日露首脳会談 政府一体で交渉態勢を整えよ

     領土を巡る、ぎりぎりの難しい条約交渉となろう。政府は、一体となって協議に臨み、戦後の懸案の解決につなげなければならない。

     安倍首相が、ブエノスアイレスで、ロシアのプーチン大統領と会談し、平和条約交渉を担う新たな枠組みで合意した。

     首相は会談で、「日露関係を新たな次元に高める」と述べた。

     交渉の責任者は、河野、ラブロフ両外相とした。次官級の担当者が実務的な協議にあたる。来年1月の首相の訪露前に、まず外相会談を行うという。

     日露間では、首脳同士の話し合いが先行してきた。条約交渉となれば、多岐にわたる議題について結論を出し、条文とする緻密ちみつな作業が必要となる。過去の合意との整合性も取らねばならない。

     同盟国である米国と十分に調整することも重要である。

     日露交渉は過去、何度も暗礁に乗り上げた。原則論の応酬に終わることも多かった。同じてつを踏まないよう、日露両国が受け入れ可能な解決策を探るべきだ。

     交渉加速のきっかけとなったのは、両首脳が先月の会談で、歯舞群島と色丹島の2島引き渡しを明記した日ソ共同宣言を基礎とすることで合意したことである。

     まずは、共同宣言にある2島の返還を求めることが最優先だ。

     プーチン氏は、歯舞、色丹の引き渡しのあり方は明示されていないとして、両島の主権の所在などを議論するとしている。ロシア国内向けの発言だろうが、容認することはできない。

     日本は長年、択捉、国後両島を含め、4島は日本固有の領土である、と主張してきた。政府はロシアに対し、粘り強く譲歩を促すことが欠かせない。

     交渉では、日本の安全保障上の懸念を取り除くことも課題だ。

     ロシアは択捉、国後両島の軍事拠点化を進めている。近年はロシア軍機が日本領空に迫り、航空自衛隊が緊急発進することも増えている。ロシアに対し、威圧的な活動の自粛を求めるべきだ。

     緊張緩和のためには、安保分野の協力の強化が不可欠だ。既に実施している自衛隊とロシア軍の海難救助訓練を充実させるなど、制服組の交流を進めたい。

     ロシアがウクライナ艦船を拿捕だほし、両国の緊張が高まっている。首相が会談で、事態の沈静化を求めたのは当然だ。

     政府はロシアに、国際秩序を乱すような行動を自制するよう、説き続けることが大切である。

    2018年12月04日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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