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    憲法審査会 議論を拒んでは理解されまい

     国の最高法規について真摯しんしに議論することが、憲法審査会の本来の役割である。開催すら拒む、一部の野党の対応は、到底理解できない。

     今国会で初となる衆院憲法審査会が開かれた。立憲民主党など5党1会派が反発し、欠席する中、与党側の筆頭幹事ら新任幹事6人を選出しただけで散会した。

     国会召集から1か月以上ち、会期末は目前に迫っている。

     日程や議題などを協議する実務的なポストの幹事が不在という状況を放置するのは、国会の機能を否定することだ。野党が、選任にさえ応じないのは問題がある。

     与野党は、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理・難民認定法改正案を巡って対立する。立民党は「憲法論議の環境が整っていない」と主張している。

     審査会は、2000年に設置された前身の憲法調査会以来、政局とは一線を画し、議論することを目指してきた。野党の姿勢は、これまでの積み重ねをないがしろにするものではないか。

     野党が欠席する中での審査会開催について、立民党は「憲法論議は100年遅れる」と、自民党に抗議した。与野党協調の慣行を逆手に取って、与党に責任を転嫁するのは筋違いである。

     憲法のあり方について、各党が自らの見解を国会で堂々と披瀝ひれきし、建設的な論戦を深める。それが立法府の責務だ。

     安倍首相は臨時国会で、自衛隊の根拠規定の追加や緊急事態条項の創設など、4項目の自民党の憲法改正案を提示する方針を示している。これをたたき台に、憲法論議を加速させる狙いがある。

     憲法改正には、衆参各院の3分の2以上の賛成で発議した後、国民投票で過半数を得るという高いハードルが待ち受ける。

     与野党の幅広い合意を形成し、国民の理解を広げていくことが欠かせない。自民党は、粘り強く取り組まなければなるまい。

     自民党は、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案について、今国会成立を断念する方針だ。

     法案は駅や商業施設に共通投票所の設置を認めるなど、投票の利便性を高める内容である。公職選挙法でも規定されており、各党に特段の異論はないはずだ。速やかに成立させる必要があろう。

     野党は、国民投票運動でのテレビCMの規制強化を主張している。国民投票運動は原則、自由であるべきだ。その基本を踏まえつつ、歩み寄りの余地がないか、与野党で話し合うことが大切だ。

    2018年12月04日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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