学校にスマホ 拙速な解禁の弊害を直視せよ

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 子供たちのスマートフォン依存が一層、深刻にならないだろうか。

 文部科学省が、スマホなど携帯端末の学校への持ち込み解禁を視野に、新指針を策定する。

 現在は「小中学校は持ち込み禁止」「高校は校内で使用禁止」が原則だ。解禁されれば、大きな転換となる。柴山文科相は「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化」を理由に挙げる。

 契機の一つが、昨年6月の大阪北部地震だ。発生が登校時間帯に重なった。安否確認に苦労した保護者から、学校への持ち込みを求める意見が多数寄せられた。

 小学生の半数以上、中学生では6割超がスマホや携帯電話を所持している。スマホが緊急時に役立つ機能を備えているのは事実だ。音声やSNSで一刻も早く無事を確かめたい。保護者がそう考えるのには、無理からぬ面がある。

 だが、万一の災害のために、子供たちに毎日、スマホなどを持たせる必要があるのだろうか。

 授業中の使用や盗難などのトラブルをどう防ぐか。SNSを介したいじめを助長しないのか。懸念は尽きない。携帯端末を持っていない子供への対処も考える必要があるだろう。拙速な解禁は避けて、慎重に検討すべきだ。

 大阪府は国に先行し、公立小中学校への持ち込みを解禁する独自の指針案を作成した。

 緊急時の連絡手段としてのみ使用を許可する。登校中や校内ではかばんに入れる。管理は子供が行う。こうした内容を盛り込み、各市町村の教育委員会に示した。

 文科省は「様々な懸念、問題にも一定の配慮がされている」と評価するが、にわかに首肯できない。特に問題なのが、具体的運用を現場の判断に委ねたことだ。

 学校ごとに対応に差が生じ、混乱を招く可能性がある。仮に解禁するとしても、厳格な統一的ルールが不可欠である。

 学校への持ち込みが解禁されれば、それだけ子供たちがスマホなどを携行する時間が長くなる。その点も忘れてはならない。

 真夜中までゲームに熱中するなど、スマホの普及による弊害が問題化している。視力や体力の低下との関連も指摘される。

 一日の使用時間を制限する。SNSに潜む危険性をしっかりと教える。スマホとの付き合い方について、まずは親と子が向き合って、それぞれの家庭でのルールを決めることが大切だ。

 学校への持ち込みの是非は、その後に論じても遅くはない。

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459153 0 社説 2019/02/24 05:00:00 2019/02/24 05:00:00

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