不適切統計 組織の機能不全の根は深い

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 基幹統計をゆがめる業務を長年続けたことを、官僚の甚だしい職務怠慢と結論づけた。厚生労働省は真摯しんしに受け止め、組織を立て直すべきだ。

 厚労省の特別監察委員会が、毎月勤労統計に関する追加報告書をまとめた。1月の中間報告は中立性が疑われたため、今回は身内を排除し、調査対象も広げた。

 二十数ページに及ぶ報告書が明らかにしたのは、事なかれ主義が蔓延まんえんし、小さいルール違反を重ねる官僚の姿である。政策立案の土台となる基幹統計を担っていたのかと思うと、唖然あぜんとする。

 大規模事業所は全て調査対象とするルールに反し、東京都内は2004年から抽出調査に切り替えた。企業の負担軽減を考慮した措置だったが、総務相の承認など、必要な手続きを取らず、統計上のデータ補正も怠った。

 十数年間も統計を歪め続け、雇用保険や労災保険などの過少給付を招いた責任は重い。

 担当者は、誤りを改めることで、業務が増加し、煩雑になることを嫌ったという。「持続性」の観点から、データを補正しなかったと説明した係長もいた。規範意識があまりに低い。

 失態が表に出なかった経緯も驚く。組織の体質が背景にある。

 局長級の幹部は2017年頃に、担当室長から不適切調査の報告を受け、是正を指示した。だが、室長は対応せず、幹部も確認しなかった。大方の幹部職員は、不適切な処理が行われている事実を把握していなかった。

 追加報告が、組織の機能不全を強く非難したのは当然である。

 一方、「意図的に隠そうとする行為があったとは言えない」として組織的な隠蔽いんぺいを否定した。綿密な打ち合わせや周到な準備を行っていないことを理由に挙げた。

 野党は国会審議で、「うそはついたけれど、隠蔽していないという報告書はおかしい」などと批判している。隠蔽の定義に、過度にこだわるのは生産的と言えない。失態の原因と責任の所在について、掘り下げる必要がある。

 野党は、中規模事業所の調査方式の変更について、首相官邸による政治圧力だと批判する。追加報告は「統計学的に合理性が認められる」と指摘しており、野党の指摘は本質から外れていないか。

 急務なのは、公務員倫理の徹底とガバナンス(組織統治)の回復である。管理職も含めた研修の充実や外部チェック機能の強化などが検討課題となる。建設的な議論を展開せねばならない。

469774 0 社説 2019/03/02 05:00:00 2019/03/02 05:00:00

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