所有者不明土地 有効活用へ登記を促したい

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 所有者の分からない土地が増えている。国土の有効活用に向け、改善に知恵を絞りたい。

 法務省は、土地の相続登記などに関する制度見直しを法制審議会に諮問した。2020年にも国会に関連法案を提出したい考えだ。

 民間の研究会の推計では、所有者不明土地は16年の時点で九州より広い約410万ヘクタールに上った。

 高齢化の進展で死亡する人が増えるため、40年には北海道の面積に迫る約720万ヘクタールに達するという。対策が急務である。

 所有者不明の土地があると、開発や公共事業などを妨げる。

 国が用地取得する際、名義人が既に死亡していて、所有者が明確でない例は多い。ある国道整備では、相続人が140人以上もいて、取得に約3年を要した。

 急傾斜地の崩落防止対策ができない。不法投棄された家電製品を撤去できない。こうした事例が各地から報告されている。草木が茂って害虫が発生し、周囲に迷惑をかける場合もある。

 所有者不明になる最大の要因は、相続の際に登記されないことだ。このため法務省は、相続登記の義務化を検討する。

 ただ、相続登記には戸籍謄本の提出を始め、多くの手間がかかる。登録免許税も必要となる。

 義務化するのであれば、手続きの簡素化や費用負担の軽減など、行政側の努力も欠かせない。

 行政内部の連携も課題だ。土地所有者の死亡情報は法務局に入るのに、土地登記の部門とは共有されていない。相続登記しないまま、遺族が固定資産税を払い続けている例もあるという。

 複数の行政部門にまたがる情報を集約し、関係者に相続登記を促すことも一案ではないか。

 遠隔地にあって、相続後の管理が難しい土地もある。売りに出したのに買い手がつかない場合もあろう。こうした実情を受け、法制審では、土地所有権の放棄を認める制度の導入を論議する。

 放棄を認めた場合、どこが受け皿になるのかや、管理コストを誰が負担するかなど論点は多い。

 税金逃れといったモラルハザード(倫理の欠如)を招く恐れもある。放棄の要件を厳格化するなど、慎重な検討が求められる。

 土地の利用と管理は、都市計画や税制を含めた多くの分野に関係する問題である。都市と地方では、土地を巡る事情が大きく異なる点にも留意すべきだ。

 各省庁や自治体による多角的な取り組みが重要となろう。

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473155 0 社説 2019/03/05 05:00:00 2019/03/05 05:00:00

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