スマート農業 技術革新で未来は開けるか

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 日本の農業を再生する契機になるか。先端技術を積極活用したい。

 あらゆるものをインターネットでつなぐIoTや人工知能(AI)、ロボットを駆使した「スマート農業」への期待が高まっている。

 幅広い産業でデジタル革命が進む中、農業は遅れていた。ここに来て、新たな技術を搭載した農機や設備が登場し始めた。

 1人で5台操作できる自動運転トラクターや、水田の水位をスマートフォンで制御できるシステムなどがある。ドローンで作物の生育状況を確認し、効率的に肥料を与えることもできるという。

 農林水産省は2019年度から、全国のモデル農場で実証実験を始める。効果や問題点を、しっかり検証してもらいたい。

 日本の農業産出額は15年以降、回復基調にあるが、未来への展望は開けていない。農家は高齢化が進み、平均年齢は67歳に迫る。

 農業は労働集約型の産業で、人手と手間を要する。生産性の向上と、担い手不足の解消を進めないと、衰退が避けられない。スマート農業の推進は、こうした問題を解決する一つの方策だろう。

 スマート化が進めば、力仕事の負担が減り、女性や高齢者が就農しやすくなる。障害者の雇用にも道を開くのではないか。

 栽培技術などのビッグデータを蓄積することで、将来は熟練の技に頼らず、高品質の作物の生産が可能になろう。政府は農産物の輸出拡大を目指しており、国際競争力の強化につなげたい。

 一方、取り組みは緒についたばかりで、解決すべき課題は多い。例えば、自動運転の農機やドローンの操作は原則、目視できる範囲でしか認められていない。

 政府には、実証実験などで十分に安全性を確認しながら、規制緩和を進めてほしい。

 自動運転トラクターの価格は1000万円前後と、通常タイプの1・5倍もする。零細農家には導入が難しいだろう。普及による低価格化とともに、シェアリング(共有)などを通じ、多くの農家に恩恵が及ぶようにしたい。

 スマート農業を円滑に導入するには、自動運転の農機が走りやすい農地や農道の整備のほか、農村での情報通信基盤の強化など、やるべきことは多い。

 農地の大規模化や、企業の参入促進といった政策と同時に進めなければ、大幅な生産性の向上につながらない恐れがある。先端技術に頼るだけでなく、農業の構造改革も怠ってはならない。

474823 0 社説 2019/03/06 05:00:00 2019/03/06 05:00:00

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