大阪ダブル選へ 奇策で都構想は前進するのか

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 政策の実現を目的に、知事と市長が職を辞し、互いに入れ替わって選挙に立つ。「奇策」には違和感を禁じ得ない。

 松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長が辞職し、知事・市長のダブル選に臨む。松井氏が代表を務める地域政党、大阪維新の会が掲げる大阪都構想の信を問うためという。

 同じポストに出馬すると、任期は知事が11月、市長が12月までだが、入れ替われば4年確保できる。首長は行政のトップとして、政策を継続的に推進する責務がある。自らの都合でポストを交代する手法は批判を免れまい。

 都構想は、東京都をモデルに、政令市の大阪市を廃して、現行の24区を特別区に再編する。二重行政を解消し、広域のインフラ整備などを一元的に進める狙いだ。

 橋下徹・前大阪市長時代の2015年5月に、住民投票で僅差で否決された。同年11月のダブル選で圧勝した松井、吉村両氏は再び政策課題に位置づけてきた。

 任期中の住民投票の実現に、当初、協力姿勢をみせた公明党が文書での確約を拒んだため、局面打開を狙ったのだろう。

 疑問なのは、松井氏が「公明党に裏切られた」と批判していることだ。粘り強く対話を重ね、一致点を見いだすのが政治の本来の姿である。合意に至らなかったからといって、他者に責任転嫁する姿勢は、いただけない。

 住民投票は、府市両議会の議決が必要だ。大阪維新は過半数の議席を有していない。ダブル選を4月の府議・市議選と同日に行うことで、都構想への関心を高め、議会での過半数獲得を目指す。そんな思惑もある。

 こうした手法は、大阪維新と、公明党はじめ他党との亀裂をいっそう拡大させ、都構想の実現を遠のかせるのではないか。行政の混乱も招きかねない。

 大阪府と市の連携で、府立大と市立大の法人統合や研究所の統合など、二重行政の解消は進んでいる。都構想への理解を深めたいのであれば、こうした地道な取り組みを続けるべきではないか。

 地方選挙は、教育や子育て、医療や福祉のあり方など、幅広い地域の課題について、住民の判断を仰ぐものである。

 都構想の是非という単一の争点で、選挙戦を戦うのは、あるべき姿とは言えない。府・市政の効率化をどう進め、万博開催を生かして大阪の活性化をいかに図っていくか。各党は政策を訴えて、競わねばならない。

479092 1 社説 2019/03/09 05:00:00 2019/03/09 05:00:00

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